ゴーン逃亡先「レバノン」ってどんな国? テルアビブ銃乱射の日本人も庇護下に

国内 社会 週刊新潮 2020年1月16日号掲載

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 ゴーンは脱出後の声明で、“政治的な迫害”に言及した。レバノンの政治案件と言えば、日本赤軍のイスラエル・テルアビブ空港銃乱射事件である。実行犯のひとり岡本公三は、終身刑で服役。13年間の獄中生活を経た1985年、イスラエルとパレスチナ解放人民戦線総司令部との捕虜交換で釈放され、拠点のあるレバノンに戻った。イスラエルと戦った英雄を庇護下に置くレバノンってどんな国?

「シリアを委任統治していたフランスが、キリスト教徒が多い部分を切り離して独立させたのがレバノンです。とはいえ、イスラム教徒の方が子沢山なので、イスラム教徒が増えていった。国会ではイスラム教徒とキリスト教徒が50%ずつ議席を持ち、18に亘る宗派が既得権益を代表。ゴーンはキリスト教マロン派で、この宗派出身者から大統領を、そしてイスラム教スンニ派から首相を選ぶことが決まっています」

 と、東京外国語大学の飯塚正人教授。モザイク国家と言われるゆえんだ。

「キリスト教徒とイスラム教徒その他の争いで、75年から90年まで内戦が続きました。その後に復興したものの、2011年のアラブの春以降の混乱を受け、35歳未満の失業率は37%に。去年の10月からデモが頻発しており、それはワイロに染まった政治家の汚職や増税への異議申し立てのため。レバノン・ポンドは弱くなり、政府は機能不全に近く、ゴミが収集されない事態にも。『暫定法務大臣』という肩書をご覧になった方もいるでしょうが、これはまともに組閣ができていないからです」

 ワイロ国家ゆえに逃亡を手助けしたのは上納金目当てと言われても仕方あるまい。岐阜県ほどの広さに約600万人が暮らす。飯塚氏によると、酒は飲めるし飯は中東随一とのこと。

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