文科大臣が行政を食い物にする「萩生田球場」 目的は票集め?

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支離滅裂な答え

 一連の疑惑に対し、萩生田大臣はなんと答えるか。取材を申し込んだところ、文書でこう回答した。

「市が特定の団体を優遇したとする貴誌(「週刊新潮」)の指摘は誤解に過ぎないと聞いており、現在でも運動場の利用希望者は運営協議会に連絡をし、所定の手続きと利用料を支払えば利用できると聞いています」

 問題の土地を巡り、萩生田大臣が都や市に圧力をかけたり口利きをしたのは事実か、との質問に対する答えは回答文には入っていなかった。また、協議会に連絡をすれば誰でも使用できる、との回答も「詭弁」に過ぎない。何しろ、協議会の所在や連絡先を市に問い合わせたところ、

「所在といっても会館などがあるわけではありません。法人とかでもありません。あるとすると個人の方の自宅ということになるのでお教えすることは出来ない」

 と、支離滅裂な答えが返ってきたのだから。これでは申し込みようがあるまい。

 また、そもそも、

「鑓水の球場=リトルシニアさんのもの、という認識ですから、そこを借りようなんて思ったことすらありません。もちろん、日々、グラウンド確保に苦労している身からすると羨ましい限りという気持ちはあります。専用グラウンドがあればどんなに楽か……」(市内の軟式少年チーム関係者)

 少年野球に詳しいスポーツライターもこう語る。

「都内の少年野球チームにとって、グラウンドの確保はまさに死活問題です。区(市)営の球場はもちろん、河川敷のグラウンドであっても基本は抽選。抽選は“運頼み”ですから、グラウンドが取れないなんていう最悪の事態が起こらないとも限らない。それを避けるため、各チームとも知恵や人脈を総動員している」

 八王子リトルシニアはそうした苦悩から解放されたわけだが、萩生田大臣がチームのために「汗をかく」のは、決してボランティアの精神からばかりではないようだ。

「今回の件のポイントは、市がオープンに決めれば済むことを、なぜわざわざ危ない橋を渡ってまで内々でやったのかということ。こうしたケースの場合、政治家が絡んでいる疑いは濃厚でしょう」

 都市政策学者で法政大名誉教授の五十嵐敬喜氏はそう指摘する。

「政治家にとってスポーツチームのような団体は選挙活動の場でもある。少年野球チームは特に保護者同士の結びつきが強く、よくしてあげればよい支援者になってくれる。息子がそのチームにいたならなおさらです。またこのチームは現役の選手だけでも相当な人数がいるようですから、その父母やOBまで含めると、かなり強い支持基盤になると思います」

 なるほど、「萩生田球場」は野球だけではなく、“票集め”の場でもあったわけである。

週刊新潮 2020年1月2・9日号掲載

特集「『安倍内閣』の爆弾! 『文科大臣』が行政を食い物にする『萩生田球場』」より

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