肉体関係をせまるモンスター社長も…外国人労働者を搾取する特定技能制度の問題点

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犯罪や反日感情に染まる外国人も

 斉藤氏によれば、受入れ企業の中には給料を遅配させるケースもあり、それも外国人労働者にとっては死活問題だ。

「外国人労働者の多くは、来日のために母国で多額の借金をしています。その支払いが滞ってしまうと、利息がどんどん膨らんでいってしまいます。毎月必ず一定額を仕送りする必要があるわけです。給料が遅れると、日本の金融機関からお金を借りるのは難しく、仲間内で“高利貸し”をするようになるケースも耳にしました。しかしその取り立ても厳しい。結果、深夜に水商売のアルバイトをこっそりしたり、集団的に万引きをして糊口をしのぐこともあるようです」

 これは我々にとっても人ごとではない。こうした理不尽な目に遭った外国人労働者の怒りの矛先が日本に向かい、“反日”思想に目覚めてしまうケースもあるからだ。

「外国人労働者のほとんどは、日本人は親切で礼儀正しく、ルールを守るという“信用”があって来日する。が、搾取をされる内に、日本という国に対して失望や恨みを抱いてしまうのです。ある外国人労働者の女性は、技能実習生として働いていたブラック企業から逃げ出し、日本に恨みを抱いていました。幸い、その後に不法就労した工場の労働環境が恵まれていたそうで、『初めて日本人の優しさを知り、本当の日本社会に触れることができた』と語っていました」

 外国人労働者の拡大を目指す政府も、こうした状況を黙認しているわけではない。2019年4月に施行された出入国管理法改正案では、外国人労働者を受入れる企業に対し、日本人と同等以上の報酬の支払いや、給与不払いなどを防ぐために預金口座への振込を義務付けていた。

 にもかかわらず、問題はすぐには減りそうもない――。

取材・文/角南 丈(清談社)

週刊新潮WEB取材班

2019年1月8日掲載

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