マツコ&有吉も驚嘆する「コンビニ外国人」のスキルの秘密は?

国際2018年7月13日掲載

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コンビニ外国人に冷たい奴が許せない

 4日放送された「マツコ&有吉 かりそめ天国」(テレビ朝日系)で扱われたのが、コンビニで働く外国人店員にかかわる問題。

「コンビニで働く外国人に対して冷たい態度を取る人が許せない」という視聴者から寄せられた声に対して、マツコ・デラックスと有吉弘行は、全面的に共感を示したうえで、外国人店員は「味わいがあっていい」「哀愁がある」と賞賛。加えて、「こっちが何を買うかを覚えてくれていることすらある」というエピソードを披露しながら、彼らの能力の高さを讃えていた。

 単純な販売だけでなく、チケットの発券、宅配便の受け付け、公共料金等の支払等々、膨大な作業をこなしているコンビニ店員の仕事ぶりは凄い。それが外国人となれば、より凄いと感じるのはノーマルな感覚だろう。

 なぜ彼らはあんなに適応できているのか。コンビニで働く外国人をルポした『コンビニ外国人』(芹澤健介・著)には、その秘密の一端が描かれている。以下、同書から抜粋、引用してみよう。

現在ソースカツ丼研修中

 著者の芹澤氏が取材したうちの1人が、ローソンで研修を受けたベトナム人女性のグェン・ホン・ニュンさん(19=取材時)。

 ローソンは他社に先駆けて海外に専用の研修施設を作っている。ベトナムと韓国に計5カ所設置して、日本の文化や店舗作業の事前研修を行っているのだ。ここでレジ打ちや接客の基本を身に付けてもらい、来日時にはすぐに働ける即戦力を育てる狙い。

 ニュンさんも、ハノイの研修施設でトレーニングを経験したうえで来日した留学生だ。来日前には半年間語学学校で日本語も学んでいる。

 取材した時点では来日から4カ月。取材日にはバックヤードでソースカツ丼の作り方を教わっていた。レジを任せるにはまだ少し早いという現場の判断があり、主に厨房業務を担当している。

 終業後、話を聞くとまだ日本語はぎこちない。

「いまは、いとこと、2人で、アパートに、すんでいます」

「りょうごくの、日本語学校にかよっています」

「おまつりで、学校の先生と、ぼんおどりをしたのが、たのしかったです」

「日本がすきです。日本に来たかったから、日本語のべんきょうも、がんばりました」

 こんな感じだ。

 ニュンさんの日本語は日本語能力試験のレベルでは「N4」。こちらの言っていることはだいぶ理解できるが、会話はゆっくりになりがち。

 この試験は初歩レベルが「N5」で、その次の「N4」は「基本的な日本語を理解することができる」程度。ほとんどペラペラに話せるなら「N2」で、「N1」は「読む・書く・話す」が淀みなくできるレベルだという。

 ニュンさんは「日本語がうまくなったら、大学に入って、しょうらいはつうやくになりたい」というのが夢だという。

 ローソンの店舗スタッフなどの人材・派遣業務を請け負っている関連会社・ローソンスタッフでは、ニュンさんのような留学生に対して日本でも最低30時間以上の実地研修を行いながら、日本語能力に応じて職場を紹介しているという。トレーナーは仕事を教えるだけではなく、生活面の相談に乗ることもある。「病気になったらどうする」「ゴミの出し方は」といった素朴な疑問に、LINEでいつでも対応できるようにしているというのだ。

 来日前からトレーニングをして、来日後も研修を受け、さらにそのレベルに応じて店や業務を選んで成長してもらう。私生活のサポートもする――こうしてスキルアップをしてもらっているからこそ、誰もが驚嘆するような店員さんがあちこちにいるのだろう。

20人に1人は外国人

 こうした手厚い対応に加えて、「日本語の勉強になる」「日本の文化を勉強するのにもいい」といった外国人側の気持ちが一致して、コンビニで働く外国人は増え続け、全国では大手3社だけで4万人。スタッフ20人のうち1人は外国人という数字である(2017年)。

 日本人の若者が敬遠しがちということもあり、現在では彼ら「コンビニ外国人」の存在抜きではコンビニは成り立たないところにまで来ているといってもいい。

 もっとも、この状況がいつまで続くかは疑問だ。

 5年近くコンビニで働いたのち、東京大学大学院に進んだベトナム人留学生は、「日本は外国人労働者の受け入れ制度が整っていない」ため、今後不況となった場合は、日本を敬遠する外国人が増えるだろう、と分析している。彼の見立てでは、東京五輪後に不況となれば、そういう事態になるというのだ。

 現在ほど便利なコンビニが24時間営業している状況が本当にいいのかといった議論もあるだろうが、ともあれせっかく「日本がすき」で働いてくれている彼らに対して冷たい態度を取るなんて論外、というのはマツコ&有吉ならずとも思うところだろう。

デイリー新潮編集部