U-22代表、ジャマイカ戦“爆勝”の無意味、本来対戦すべき国名を挙げるなら……

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残された時間は少ない

 ただ、そんなミスマッチでも収穫があったのも確か。前半のFW3人、安部と前田大然(22)[CSマリティモ]、旗手怜央(22)[順天堂大学]の3人は、前線からのプレスにスピードがあり、連係も取れていた。

 前田は持ち前のスピードを生かして、少々長めのパスでも快足を飛ばしてマイボールにしていた。安部は冷静沈着なドリブルで2、3人に囲まれても自信をもって突破を図っていた。サイドFWは最激戦区だが、ジャマイカの力量不足を差し引いても、ポジション争いに名乗りを上げる資格を得たと言えるだろう。

 そして旗手はシャドーストライカーとして2ゴールという結果を残した。特に1点目は難しいシュートを冷静に決めたプレーは光っていた。 他にも3バックの中央に入った岡崎慎(21)[FC東京]は、持ち味である正確なタテパスで日本の攻撃を最後尾からビルドアップした。

 安部と前田の海外組を招集できなかったのは残念だが、旗手と岡崎、さらにボランチの松本泰志(21)[サンフレッチェ広島]ら5人がタイ行きの切符をつかんだことは、ジャマイカ戦の数少ない収穫と言えるだろう。

 タイでの大会には、予想通り安部や前田に加えて中山も招集できなかった。彼ら以外にもDF冨安健洋(21)[ボローニャFC]、MF堂安律(21)[PSVアイントホーフェン]、MF久保建英(18)[RCDマヨルカ]ら招集できない候補選手がいる。

 しかし、チーム作りは急務であり、残された時間には限りがある。タイでは、選手をテストするのではなく、東京五輪に向けたチーム作りの“骨格”が見られることを期待したい。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年1月4日掲載

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