斎藤佑樹をオープナーで採用… 今年も日ハム「栗山マジック」の“試行錯誤”は続く

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「驀進」をスローガンに3年ぶりの日本一奪回を目指した日本ハム。2019年シーズンは、7月末に首位・ソフトバンクに0.5ゲーム差まで迫ったものの、8月に5勝20敗1分と大崩れし、一気に最下位転落。最終的に65勝73敗5分の5位と、ファンの期待に応えることができなかった。だが、開幕直後からデータに基づく奇策や新戦術を多用した栗山英樹監督の采配からは、いろいろな手を使って、新しいものを生み出し、現状を打破しようという意気込みが伝わってきた。

 開幕早々、大きな話題を呼んだのが、内・外野の守備位置を極端に変えるシフト作戦だった。ターゲットになったのは、オリックスの4番・吉田正尚。3月31日のオリックス戦(札幌ドーム)、1回表2死一塁、吉田正が打席に入ると、サード・横尾俊建が一、二塁間まで大移動。ショート・中島卓也も二塁ベースの後方に移り、一、二塁間を内野手3人で守る“吉田正シフト”が敷かれる。開幕からの2試合で1度ずつ行われているが、最初から通しでやるのは初めてだった。

 これは、前年に吉田正が記録した165安打のうち、右方向に引っ張ったものが82本、凡打も含めたすべての打球448本中、右方向に218本飛んでいることをもとに、「確率に基づいて」栗山監督が実行させたもの。初回からいきなりのシフトを意識し過ぎたのか、吉田正は一打先制のチャンスに三振。第2打席は二ゴロ、第3打席は一直に倒れ、9回表1死の第4打席でようやくシフトの逆をつく左前安打を放ったが、日本ハムにしてみれば、4番の一発を封じ、唯一許した安打もシングル止まりという結果は、まさに狙いどおりだった。

“仕掛け人”の栗山監督は「誰が“ショートがあの位置”とか“外野が3人”と決めたのか。常識を疑うところから始めている」と自然体を強調。4月18日のオリックス戦(ほっともっとフィールド神戸)では、吉田正が放った一、二塁間のゴロをサード・横尾が処理するという珍プレーも見られた。また、4月7日の西武戦(東京ドーム)では、森友哉に対しても、サード・淺間大基がレフトの定位置に入る外野4人シフトを敷き、5月以降も“森シフト”を続けた。

 だが、シーズンが終わってみれば、森は打率3割2分9厘で首位打者、吉田正も打率3割2分2厘で2位とパ・リーグ打撃部門の1、2位を占める皮肉な結果に。シフトの真の目的は、打撃フォームを崩し、スランプに陥れることとされる。心理的な揺さぶりも含めて、どこまで効果があったかという点で、課題を残した。

 栗山監督はオープナー制(ショート・スターター)という新たな投手の起用法でも注目を集めた。従来のリリーフ投手が先発して試合の序盤を投げ、従来の先発投手にリレーするのが基本パターンで、前年のメジャーリーグでも投手陣の失点が多かったレイズがこの戦術を初めて用いて成功を収めている。“栗山流オープナー”は、前記の基本形をアレンジして、リリーフ投手だけで継投するというもの。これには前年未勝利に終わった斎藤佑樹をオープナーとして再生させる狙いもあったようだ。

 だが、ローテーションの谷間となった開幕から6試合目、4月4日の楽天戦(楽天生命パーク宮城)、チーム初のオープナーとしてシーズン初先発のマウンドに上がった斎藤は、初回に3長短打で3点を失い、2回裏2死、四球を与えたところで降板。最初の試みは失敗に終わる。

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