中日、3人のタイトルホルダーそれぞれの事情 ロドリゲスはメジャー復帰の皮肉

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 2019年のチーム成績はリーグ5位ながら、大島洋平がシーズン最多安打、大野雄大が最優秀防御率、ロドリゲスが最優秀中継ぎ投手と3人のタイトルホルダーを出した2019年の中日。改めて選手個々の能力の高さを印象づけたが、その陰では、タイトル獲得をめぐり、三者三様の“複雑な事情”も見え隠れしていた。

 まずシーズン最多安打の初タイトルに輝いた大島。実は、この快挙の裏には、意外な人物の好アシストがあった。8月1日の阪神戦(甲子園)、中日は0対0の2回表に2死一、二塁の先制チャンス。この場面で打順が回ってきた大島は、一、二塁間にゴロを転がした。

 ところが、打球は運悪く二塁に向かって全力疾走していた一塁走者・木下拓哉の左足に当たってしまう。木下拓は守備妨害でアウトになり、中日は無得点に終わった。そして、「風が吹けば桶屋が儲かる」よろしく、この守備妨害が回り回って、大島にシーズン最多安打のタイトルをもたらすことになる。

 もし大島の打球が木下拓に当たっていなければ、二ゴロに打ち取られていた可能性が強かったが、守備妨害を取られたお蔭で、安打が記録されることになったのだ。そして、最終的に174安打を記録した大島は、2位・坂本勇人(巨人)にわずか1安打差で逃げ切りをはたす。それを考えると、たかが1本、されど1本の“認定安打”は本当に大きかった。

「10年かかって、やっと獲れたなという気持ちです。最多安打も上位に絡んでいながら、最後に抜かれたりしてきた。最後に上に立てて良かった」と初タイトルの感激に浸った大島は、この一打を「(安打のヒットと言うより)木下に当たったヒット(命中)ですね。ヒットになってくれたので、木下のお陰です」と感謝することしきりだった。

シーズン後、海外FA権を行使せず、残留を表明。新たに3年契約を結び、引き続き中日でプレーすることになったのは、ドラファンにとって何よりの朗報である。

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