巨人「菅野智之」 メジャー挑戦ならいくらの値が付く? スカウトは黒田博樹より低い可能性

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 巨人のエース、菅野智之は、メジャーに挑戦する時期が早まるかもしれない。以前から将来的なメジャー挑戦の意向を示していた菅野だが、今オフに“追い風”が吹いた。巨人は11月、球団初となるポスティングシステムの利用を容認して、山口俊がメジャーに挑戦することを明らかにした。この時の会見で、今村司球団社長は、菅野について直接的な言及は避けたものの、「選手が希望を持つこと、夢を持つことは大事。丁寧に個々に対応しながら、真摯な対応をするしかない」と含みを持たせている。

「巨人はこれまでポスティングシステムを認めてこなかったので、菅野は海外FA権の取得が見込まれる22年オフにメジャー挑戦を表明すると見られていました。しかし、今回の方針転換で、来オフにもその可能性が出てきました。来年31歳になる菅野にとって、この1年の差は非常に大きいでしょう」(巨人を取材するスポーツライター)

 ただ、今季の菅野は、腰の痛みなどがあり、万全といえる状況ではなかった。17年に17勝5敗防御率1.59、18年には15勝8敗防御率2.14と、巨人のエースとして大車輪の活躍を見せたが、今季は11勝6敗防御率3.89と過去3年で最も悪い成績だった。さらに、防御率に焦点を当てると、入団以来過去最低の数字である。ここ数年の疲労が蓄積された影響が大きかったと見られている。

 そんな菅野だが、メジャー挑戦ともなれば各球団で争奪戦が起こる可能性も指摘されている。あるスポーツ専門サイトでは、「メジャーのスカウトが100億円を用意する」と報じていたが、実際の評価はどうなのだろうか。MLB極東担当のスカウトは、こう指摘する。

「菅野の球威と制球力ともメジャーのトップクラスに匹敵するもので、野球に対する考え方も素晴らしいと評価しています。ですが、今年の内容が悪すぎましたね。腰を痛めて故障を抱えているというレッテルが貼られてしまったのもマイナス要因。今シーズンの投球内容では、スカウトとして菅野獲得を議論のテーブルに乗せることもできないですね。来季、どんなピッチングをみせてくれるのか、それによっても契約内容が大きく変わってくると思います」

 どのくらい規模の契約になるのか、前出のスカウトによれば、それを考えるうえで、ひとつの基準になるのは、08年に広島からドジャースに移籍した黒田博樹だという。黒田は32歳で海を渡っているが、菅野が来オフにメジャーに挑戦すれば31歳で、ほぼ同じ年齢だ。

「広島時代の黒田は、中心投手となった01年以降、ドジャースに移籍するまでの7年間で、投球回数が平均180回を超えている。メジャー側が先発投手に求めるのは、故障をせずに年間を通じて投げること。投球回数の基準は200回で、それに近い数字を求められるでしょう。菅野はプロ入り以来、この基準を満たしてきたが、今年は136回と悪すぎましたね。それが1年だけのことかどうか、スカウトに実力を見極められるでしょう。黒田は、07年オフに3年契約の総額3530万ドル(約40億円)でドジャースと契約しています。単純比較はできませんが、現時点の菅野の状況を考えると、黒田と同等の契約は難しいのでは。3年程度の契約で年俸700~800万ドル(約7~8億円)で成績に応じたインセンティブをつける。その上で4年目以降の契約延長オプション、そのあたりに落ち着くんじゃないでしょうか」(前出のスカウト)

 来季のピッチング次第で、評価が覆る可能性は大いにあるが、菅野にとって来季は本当に“正念場”になりそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年12月25日掲載

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