「山口敬之」記者はいかに「安倍官邸」とベッタリか 週刊新潮の取材から再検証

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〈週刊新潮より質問状が来ました。伊藤の件です〉

 もう一人、前内閣情報官で国家安全保障局長の北村滋(しげる)氏にも触れておこう。国内外のインテリジェンスを扱うのが内閣情報調査室(内調)であり、そのトップ・情報官を長らく務めた後、谷内正太郎氏の後を襲って国家安全保障局長に就いた。情報官時代から「首相動静」に登場しすぎる官邸官僚として話題だった。「ワーカホリックではありますが、首相との距離の近さをアピールしたいことの裏返しなんでしょう」とは、政治記者の評。

 一方、政治ジャーナリスト・鈴木棟一氏の言葉を借りれば、「北村っていうのは安倍のペットだよ。ね。安倍が好きな官僚だよ。次の内閣官房副長官と言われていますでしょう? それは間違いないよ。安倍と会うのが一番、多いって言われているでしょ。安倍と北村は表裏一体。それでいいでしょ」

 北村氏の名を聞いて思い出されるのは、本誌が山口氏へ取材依頼書をメールで送った後の出来事だ。それに対してすぐに、

〈北村さま、週刊新潮より質問状が来ました。伊藤の件です〉(写真)とメッセージが届いた。「北村さま」に転送しようとし、誤ってそのままこちらへ返信してしまったのだ。その文面から察すると、かねてより【山口・北村間】で今回のレイプ事案が問題視され、話し合われてきたことがわかる。ちなみにメール誤送信の件について山口氏は、

「この件を含む様々な相談を差し上げている民間人」と否定し、北村氏は、

「何もお答えすることはありません。すいませんが。(いつから相談を?)いえいえ、はい。どうも」という対応だった。

 さらに山口氏は2019年12月19日の会見で、この件を問われ「私の父が弁護士をしておりまして、その友人の方です。北村滋さんとは全く違う方です」と話した。山口記者の父は昨年亡くなったといい、“その友人”が弁護士か否かは答えないとした。とはいえ、ノーコメントではあったものの否定することはなかった北村氏の反応は気になるものだった。

 内調は情報の交差点であるがゆえに、そこから秘密の話が漏れ出ることも。ある記者から仕入れた話を内調職員が幹部に報告したところ、あろうことか、それがそっくりコラムに抜けていたことがあった。その先は、前出・鈴木氏の5600回を超える夕刊フジ連載「風雲永田町」である。ご当人に聞くと、

「ハハハハ。それはあるかもしれない」

 とあっさり認めた。漏れたことで弁明できず職員は困っていたと重ねると、

「だから、まあ、そういうことがあったのかもしれないけど、今はもう……」

 ならばその漏洩元は北村情報官なのかと質すと、

「情報はもらってるんだ。俺は、無茶苦茶親しいんだよ。(北村氏との)関係はわかっているか? あのね、30年くらいの仲なんだよ。パリに旅行した時に大使館の職員として応接しにきたんだよ。それで知り合ったんだよ。それからずっと長い仲でね。(当時は北村なんか)下っ端もいいところだよ。そうだろう?」

 交際の長さはさておき、

「俺が聞くじゃないの、いろいろ。この問題はどうなってるんだって言っていると、“(その問題に関する)ペーパーはあります”っていうことはあるんだよ」

 だが、本誌記者との都合4度に亘るやりとりを通じ、

「北村本人じゃなく、内調が政治家2人に渡しているペーパーを受け取った」

 と鈴木氏は“漏洩ルート”を慌てて修正。北村氏にも聞くと、代理人の弁護士から警告書が本誌に届き、こうあった。

「職務上知り得た秘密を違法に漏洩することはおよそ有り得ません」

 もっとも、この点を法律の専門家に聞いてみると、【内調→政治家→鈴木氏】という情報の流れであったとしても、「内調は内閣の政策決定に関わる情報を集める機関。その職員が職務として集めた情報は全て『秘密』とみなされても仕方がない」と守秘義務違反の可能性を指摘するのだった。

週刊新潮WEB取材班

2019年12月20日掲載

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