【ルポ・重婚】彼女が男とその妻との奇妙な同居生活の末に妊娠出産した理由

大泉りか 女のライフハック ライフ 2019年12月10日掲載

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 現代社会を生きる女性が避けては通れない「婚活」「結婚」「妊活」「子育て」。これらのライフイベントに伴う様々な困難にぶつかりつつも、彼女たちは最終的には自分なりに編み出した「ライフハック」で壁を乗り越えていきます。読めば勇気が湧いてくるノンフィクション連載「女のライフハック」、待望の第11回です。

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入籍していないし子の認知もしてもらってない

 先日、久しぶりにある友人と再会を果たした。彼女の名前は水嶋かおりん(源氏名・36歳)。メディアやイベントなどを通して、性教育や性風俗についての啓蒙活動を精力的に行うなど、セクシャルヘルス界隈では名の知られた存在だったが、妊娠出産を機に子育てに専念するということで、ここのところ、表立った活動は休止中だ。

 産後、母親となった女性が仕事に復帰するのは、決して容易なことではない。特にフリーランスの場合、「育休」という制度が存在しないため、出産日の翌日から8週間の「産休」が明けてしまうと、即時に無職という立場になる。ゆえに産休終了と同時に働き始めるか、産休を早めに切り上げないと、待機児童の多い市区町村では、保育園の入所は難しい実態にあるし、子どもが1歳か2歳になるまで「育休」と称して自主的に休んでいると、仕事を発注してくれるクライアントと疎遠になってしまうという不安もある。

 おまけに、その職業が“性”にまつわるものの場合、さらにハードルがあがることが容易に想像できる。職業に貴賤はないとされていても、子の父親が「母となっても、他の異性と肉体的接触を持つ妻」に複雑な感情を抱く可能性もあるだろうし、たとえ理解が得られても、プレイヤーとして復帰する場合、出産で失った体力が回復しないうちは、肉体的負担が大きそうだ。

 もちろん出産を機に「アダルトな仕事を辞めて、別のキャリアを探す」という選択肢もあるが、当人が“性にまつわる仕事が天職”と考えていて、続けることを希望した場合は、どうやって今後のキャリアを展開していくのか――。そこで水嶋さんに、話を聞いてみることにした。

 取材当日、編集者とともに水嶋さんのご自宅を訪れると、賑やかな子どもたちの声に迎え入れられた。さっぱりと後ろで1本に結った髪の毛に、カジュアルな黒いカットソー。人懐こい笑顔は現役時代のまま、以前よりも落ち着いた、どことなく“貞淑な妻”らしい雰囲気がある。

 温かい紅茶のお茶請けに、林檎や葡萄といったフルーツが皿に盛られているのが、子育て中の家庭らしい。通されたリビングには、かるたや地図といった子ども向けの知的玩具があちこちに転がっている。水嶋さんはこの家に、3歳になる長男と、1歳の長女、そして子どもの父親である“同居人”の井浦佑さん(仮名・39歳)と一緒に住んでいるという。

「実は子どもたちの父親とは、入籍していないし子の認知もしてもらってないんです。なぜなら彼は、1年ほど前まで、別の女性と結婚をしている、既婚者だったんですよ」

 しょっぱなから、なかなかパンチのある近況報告だが、水嶋さんは既婚者だとわかっていて、その男性と付き合ったわけではないという。独身だと信じて付き合い始めた後で、結婚したばかりだということを、明かされたというのだ。

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