桜を見る会騒動・メディア懇親会で安倍首相は泣き言、秘書官は「NHKの報道はひどい」

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 永田町に舞う季節外れの桜。しかし、「桜を見る会」そのものに関する野党の批判は季節外れどころか、“的外れ”と言わざるを得ない。いや、天に唾する行為、と言ったほうが正確だろうか。

 桜を見る会は吉田茂政権下の1952年に始まり、毎年4月頃に東京・新宿御苑で開催されてきた。主催者はその時々の総理大臣。目下、野党は、安倍総理が大勢の後援者を会に招いていたことをもって「私物化だ」などと批判しているが、果たして、旧民主党が政権運営を担っていた時期はどうだったのか。

 手元に、2012年2月23日付で旧民主党に所属していた国会議員あてに出された〈「桜を見る会」へのご招待者名簿の提出について〉と題した文書がある。当時の総理大臣は野田佳彦氏。この年は北朝鮮のミサイル問題の影響で会の開催は見送られたが、文書には、

〈今回は野田総理大臣の下での「桜を見る会」となり、そこに後援者の方等をご夫妻でご招待いただく絶好の機会になります〉

 とある。何のことはない、旧民主党の面々もこの会について、後援者をもてなす〈絶好の機会〉と捉えていたわけである。また、文書には次のような記述もある。

〈招待は原則としてご夫妻単位ですので、招待者としてはご夫妻のいずれか1名のお名前等の必要事項をご記載下さい。1枚の招待状でご夫妻が入場できることになっています。国会議員ごとの招待者の数は、4名(入場者8名)までとさせていただきます〉

 現在、桜を見る会を巡って取り沙汰されている問題の一つに「推薦枠」がある。議員1人当たり4~5人、閣僚は20~30人とされるが、この文書にある記述が「推薦枠」を示すものであることは明らかだ。

 文書の内容を見るだけでも、野党、とりわけ旧民主党の面々に桜を見る会を批判する資格がないことがお分かりいただけるだろう。では、なぜこの件を巡る「バカ騒ぎ」がいつまでも続いているのかといえば、それは、「前夜祭」の問題があるからだ。

 第2次安倍政権になって以降、安倍総理は毎年、桜を見る会の前日に後援会の主催で前夜祭を催していた。今年4月12日の前夜祭は東京・千代田区にあるホテルニューオータニで行われ、総理の地元・山口県下関市などから後援会関係者ら約800人が参加。会費は1人5千円だった。

 この前夜祭について野党が追及している問題は複数あるが、大きな柱は二つ。一つは、1人5千円の会費が安すぎるのではないか、という点である。ニューオータニのパーティープランの最低価格は1万1千円だからその半額以下ということになるが、これについて安倍総理は番記者のぶら下がり取材で、

「1人5千円という会費については、これは正に大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事情等を踏まえ、ホテル側が設定した価格である、との報告を受けております」

 と発言。しかしその後、15年の桜を見る会の前夜祭の会場はホテルニューオータニだったものの宿泊先は六本木にあるANAインターコンチネンタルホテル東京だったことが報道によって判明。総理の発言が説得力を失った感は否めない。

 もう一つの問題は、ホテル側との金のやり取りについて。前夜祭の会場入り口では、安倍事務所の職員が1人5千円を集金し、ホテル名義の領収書を手交。集めた金は、受付終了後にホテル側に渡していたという。つまり、安倍事務所がホテル側と参加者側の間に入り、資金に“触って”いるわけだが、安倍総理関連の政治団体の収支報告書には前夜祭に関する記載が全くないのである。

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