幼少期の性被害で負った「心の傷」を不倫で癒やす女医の告白

  • ブックマーク

Advertisement

 許されないと分かっていながら、人はなぜ不倫してしまうのか。不倫している人びとの声から、恋愛指南の著書多数の二村ヒトシがひもといていく。2人目の不倫当事者は、都内の総合病院に勤務する小児科医の島田祥子先生(仮名・40歳)。真面目で優しそうで、不倫などとは縁がなさそうな彼女が、同僚の既婚医師・中川祐二先生(仮名・42歳)との関係から思いがけず得たものとは。

 バックナンバーはこちら https://www.dailyshincho.jp/spe/nimura/
 
 ***

「大きい病院は不倫だらけ」は本当だった

二村:祥子さんは小児科のお医者さんで独身、相手には奥さんとお子さんがいるということですが。向こうもお医者さんで、職場の同僚なんですってね。

祥子さん:はい、私も彼も同じ総合病院勤務で、彼は内科医です。今の関係になってそろそろ1年くらいですかね。

二村:同じ病院で働いてる医療関係者同士の不倫って多いって聞きますけど、そうなんですか? ほとんどが既婚の男性ドクターと若い女性看護師さんってケースのようですが。そして、たいがいは周囲にもバレバレだっていう。

祥子さん:他の病院のことは分かりませんけど、知り合いの医者からもそういう話はよく聞きますし、バレてるっていうのも込みでそうなんでしょうね。それこそ私がつきあってる中川なんて、うちの病院の中で手が早いって有名で、複数のナースたち相手にさんざん遊んでいたし、私と彼がそういう関係になったのも、その順番がたまたま回ってきただけって感じですから(笑)。

二村:そんな男性と、よくそんな気になりましたね。それだけ惚れちゃったんですか?

祥子さん:惚れたというよりは、医者として尊敬していたし、憧れてもいましたね。大きい病院って外科が花形ですけど、彼は地味な仕事をきちんとこなして患者さんたちに感謝され、病院の評判を上げつつ収益も上げ、仕事への情熱や向上心も人一倍あって。ただ女癖だけが悪くて(笑)。

二村:そのせいで精神的に病んでいく女性たちを、祥子さんは職場で間近で見ていたんでしょう? 自分も同じ目に遭うとは思わなかった?

祥子さん:最初はそういう不安も少しありました。でも男女の関係になってしばらく経っても、よくある「いつ奥さんと別れてくれるのかな」みたいな感情が、私の方に全く湧いてこなかったんですよ。それで、これなら続けても平気だな、って思っちゃって。

二村:それって、祥子さんが「男に都合のいい、できた女」だったってことなんですかね。それとも社会的な立場が対等っていうか、祥子さんがお医者さんだからなんですかね。

祥子さん:後者のような気がします。こんなこと言ったら医者と不倫してるナースに怒られるんですけど、私は一応、経済的に彼に依存しなくて済んでいます。会うときは外食もホテルもワリカンです。私は一人住まいなんですけど、もてなす感じになったり泊まられたりするのがイヤなので家には招きません。結婚してほしいなんてまったく思わないし、奥さんにこっちの存在をチラつかせるなんてとんでもない。お互いの生活が安定して、いいコンディションで仕事ができることが優先です。

二村:結婚願望はもともとなかったんですか。

祥子さん:一応はありましたけど、医者って一人前になるまでに何年もかかるし、私はそんなに要領のいいほうでもないので、若い頃は仕事ばかりしてたんです。で「いい加減そろそろ」と思った時にはまわりには既婚者しかいなくなってました。婚活もしてみましたけどピンとくる人がいなかったし、恋愛のかけひきとかも今さら面倒で。

二村:女医さんって、同業以外の男と結婚しようと思ったら逆にけっこう大変なんじゃないですか? 高学歴・高収入の女に世の中の男はだいたい引いてしまうでしょう?

祥子さん:まさにそうなんです。“女医”って響きを最初は面白がるけど、それだけ。婚活市場では弱者ですね。華やかな生活が好きな女医はバツイチの経営者とかと結婚してて、私もそういう人を紹介されたことありましたけど、その人はなんだかなあって印象で……。結婚に真剣な女性は、出産の年齢的なリミットがあるからというのも大きいと思うんですが、私の場合は子どもを可愛がりたいって気持ちも仕事で埋めることができたっていうか。

二村:ああ、お仕事で、毎日子どもたちと触れ合っているから。

祥子さん:私、小児科医って仕事が好きなんですよね。長く通院したり入院したりすると子どももなついてくれるし、そういう子を親御さんの代わりに叱ることも結構あるんです。でも、もしこれが自分で産んだ子だったら、逆に叱れないと思うんですよ、甘やかしちゃって。重篤なアレルギーがある子の親御さんとお話しとかすると、本当に頭が下がりますし。あと私は妹がいるんですが、専業主婦で、子どもが3人いるんです。しかも実家のそばに住んでいるので、親もメロメロで。

二村:ご両親の「孫が欲しい」って気持ちも埋まっちゃったんだ。妹さんによって、祥子さんの娘としての役割が、ひとつ終わっちゃったんだね。

祥子さん:もちろん妹には感謝してますよ、親に寂しい思いをさせずに済んだので。でもやっぱり妹も大変そうだし、そういう姿を見聞きすればするほど「自分にはできない」「私は私のできることを、得意なことをやればいいのかな」って思うようになりました。こんなに大変な思いをするために、これから結婚できる相手を探して、さらに高齢出産や不妊治療を頑張る気にはなれないな、というのが正直なところですね。

次ページ:アラフォーで初めて「気持ちいい」を知った

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。