「年収1000万円」家庭が世間のイメージほど「裕福」ではない現実

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所得制限で学費補助や不妊治療費助成等が受けられない

 ひとつめは「現在の収入で満足いく暮らしが出来ていますか?」という質問。これについては、

「贅沢はしていませんが、切り詰めてもいないので満足しています」(Yさん 31歳 夫の年収:1000万円弱)

「やや将来の貯蓄に不安はあれど、概ね満足。夫の仕事がセーブ出来てQOLが上がるならもう少し減ってもいい」(Kさん 37歳 夫の年収:896万円)

「満足といえば満足だけど、足りないといえば足りない」(Uさん 44歳 夫の年収:1200万円)

 と、一応は満足しているという回答が多かった。もちろん「出来ていません」(Iさん 48歳 夫の年収:1100万円)という方もいる。

 では、具体的にどういうところが満足/苦しいと思うのか。

「子どもがふたりとも、中高一貫私立校に通っており教育費の負担が莫大な額になっています(大学受験のため予備校代も)。年収が中途半端に高いため、所得制限で公的な学費補助も受けられません。私立校に行くという選択肢があるのは、ある程度の裕福さゆえですが、子どもふたりが6年間私立校で大学も私立だと学費が……」(前出のIさん)

「普段の生活に不自由を感じていませんので満足ですが、児童手当が収入制限により受給できないところは不満です。また不妊治療費助成も収入制限があり受けられませんでした」(Fさん 37歳 夫の年収:950万円)

 やはり諸手当や補助が受けられないことは、不満だという(ちなみに児童手当制度については、所得制限を超過した場合は、特例給付が支給されるが、中学校修了までの子ども1人につき、月に一律5000円と、所得制限未満に比べて額が低くなる)。もうひとつ、世間一般で言われている“年収1000万円=裕福”について、どう考えているかも尋ねてみた。

「貧乏ではないけどそんなに裕福だとも思わない。今後、子の成長に伴う養育資金の増加により、生活を切り詰める可能性大」(Rさん 36歳 夫の年収:1200万円)

「確かに普通に労働をして生活をする分には、経済的にはやや余裕もあるのではないでしょうか。しかし実際は税金の割合も高く求められるので、労働の量や質を考えると分が悪いような気もします。世間一般のイメージほど実際は、裕福ではないと思います」(前出のKさん)

「一般的な収入が低い、またなかなか増額していかない現状が、1000万円の収入が裕福と感じるのではないでしょうか(私ももともとワーキングプアだったので)。近頃では、大企業か個人で成功、もしくは経営者などではないと難しい収入のように感じます」(前出のYさん)

「子どもがいる家庭の場合年収1000万はまったく裕福だと思わない」(前出のIさん)

 やはり当事者たちは“裕福”とは感じていない。さらに取材を進めるべく、アンケートに答えてくれた中から、ひとりの女性に実際に会って、話を聞いてみることにした。

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