「桜を見る会」問題をスクープしたのは「赤旗」 官邸も警戒する情報収集力の秘密とは

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スクープは政党支持に結びつかない

「昔の赤旗は、田中角栄の金脈を暴いたり、政商といわれた小佐野賢治を追及したり、今より大きなスクープを連発していましたね」

 と解説するのは、元共産党政策委員長の筆坂秀世氏。

「スクープを出せたのは、大企業とのしがらみがないからです。全国紙は、企業の広告が大きな収入なので、何かと制約がある。ところが赤旗には、広告を出すのは身内だけ。企業との利害関係がないので、なんでも書けるのです。タブーがないから、タレコミも多かった。本当の話なら、赤旗に持ち込めば必ず記事にしてくれるし、情報源も絶対守ってくれると言われたものです」

 赤旗の記者は約300人で、うち日曜版が40人。東京本局の他に、札幌、仙台、東京、長野、名古屋、大阪、広島、福岡、沖縄に総局・支局があり、海外では、北京、ハノイ、カイロ、ベルリン、ワシントンDCに特派員を置いている。

 赤旗は記者クラブに加盟していない。それでも、なぜ情報収集に長けているのか。

「赤旗の記者は、20代が7%しかいません。つまり、ベテラン記者が多いのです。しかも、編集局内での異動がほとんどないので、みな専門記者になっています。都政担当は30年続けていますよ。ベテランだから人脈もあり、スクープを取ることもできるのでしょう」(同)

 さらに、赤旗の強みは地方議員にあるという。

「共産党の地方議員は3000人ほどいます。これは自民党と同じくらいですね。彼らが大きな情報源になっているのです。地方だと、自民党や共産党といっても、政党間の垣根が低いので、自民党の情報も筒抜けになることがあります。今回の桜を見る会のスクープも、安倍さんの地元・下関の議員からの情報提供だったのかもしれませんね」(同)

 とはいえ、赤旗は、かつて350万以上あった部数が、今年の8月に100万部を割っている。

「日刊紙が20万部弱、日曜版は80万部弱ですね。日刊紙は20年前からずっと赤字です。残念なことに、いくらスクープを放っても、それが共産党支持に結びつかないのです。記者も高齢化していますから、もはや、ジリ貧状態ですね」(同)

 このままでは、いずれスクープもなくなる?

週刊新潮WEB取材班

2019年11月20日掲載

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