自衛官を辞めて専業主夫になった夫とは「もう無理…」そして彼女は不倫にハマった

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彼となら、ただのメスとオスになれる

二村:どんなふうに、いいんですか?

舞衣さん:昔はお互い下手だったけど、今は彼が探究心旺盛に、どうすればよくなるかを考えてくれる。ときめくのは、自分自身がまだメスであると再確認できること、私がオスの彼を喜ばせてるって実感できることですね。初めて、私から男の人を攻めて喜ばせてあげたいという気持ちになったんですよ。

二村:よかったですねえ。そういうのって、いまさら旦那さんとはもう考えられないですか。

舞衣さん:夫とはできないです。夫のこと、とても大切には思ってるんですけどね、こういうエロい気持ちにはならないですね。

二村:そういうことって浮気する男性の方がよく言いがちだけど、同じように思う女性もいるんですね。ようするに結婚相手が悪いんじゃなくて、結婚相手との関係に新しい性的な「謎」みたいなものが見出せなくなっちゃうんでしょうね。相手のわからない部分を探っていくのが性の醍醐味の1つです。かといって謎ばっかりだと危険もある。

舞衣さん:彼は、夫とはまた別の意味で気心が知れてますから。

二村:距離がちょうどいいんでしょうね。もし万が一お互い離婚して不倫相手と再婚したとしても、不倫中はあんな楽しかった相手だったのに、いざ一緒に住むとその人ともレスになっちゃうってこともあり得るんじゃないかなあ。

舞衣さん:はい、私もそう思います。結婚と性は、今の私の中では完全に別腹になっています。でも彼と会うようになってから、結婚生活のありがたさもわかるようになりました。それまでは夫への不満で息が詰まることがあったけれど、今では家に帰ればいつも「おかえり」「ごはん食べる?」って声をかけてくれる存在がいるって幸せなことだなって。

二村:ご家族への罪悪感はどうですか。

舞衣さん:もちろん、夫にも子どもたちにも罪の意識は常にあります。結局私は自分のわがままを優先してる、ということはよくわかっているので。だからこのことは絶対に墓場まで持って行くし、もし夫が私と同じようなことをしていたとしても、私は許すと思いますね。

 ***

——本質は何も違っていないのに、役割が変わっただけで相手を受け付けられなくなってしまう。奥さん思いで意識高そうにも見える夫の専業主夫宣言が、舞衣さんとの夜の生活においては裏目に出てしまった。

 でも、舞衣さんご夫婦は(もちろん未来のことはどうなるかわからない。何事かが起きて破綻する危険も充分あるわけだが、少なくとも現時点では)これでいいのではないだろうか。というより「これでいいのだ」とか「悪いのだ」とかジャッジをすることが、そもそも間違っている気もする。

 お互い絶対に浮気しない仲良し夫婦も世の中にはいるし、それは素晴らしいことだ。結婚制度というものに従った以上、それをめざすべきなのだろう。けれど、これほど多くの夫婦がレスになり不倫してしまう事実からして、その「素晴らしいこと」が「普通」であり「まとも」だと言うのはもはや無理がある。“日常をともにする相手から謎を見出し続ける”なんてことができるのは、才能なのか巡り合わせか、よほど恵まれた人たちだけなんじゃないだろうか。

 さらに話を聞いていくと、舞衣さんと不倫相手の彼・秋山聡さん(仮名)との関係には昔なじみならではの深いつながりがあった。次回は彼女と彼の「心の穴」を探っていく。

 続編「同窓会不倫の相手は『結婚しなければ、いい男』、お互いの家族では満たせない『心の穴』を埋め合える関係」はこちら→https://www.dailyshincho.jp/article/2019/11191101/

二村ヒトシ(にむら・ひとし)
1964年生まれ。慶應義塾大学中退。本業はインターネットで検索してみてください。著書に『すべてはモテるためである』『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』『あなたの恋がでてくる映画』、共著に『欲望会議』『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』『オトコのカラダはキモチいい』ほか。

構成・文/山崎恵

2019年11月19日掲載

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