五輪マラソン札幌移転の裏に「橋本聖子五輪相」と「北海道カジノ利権企業」の繋がり

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3兄弟の“格差”

「ノーザンファームの吉田社長はたくさん稼いでも、その金で新しい種馬や繁殖牝馬を買ったりして、どんどん“次”に突っ込んでいく。そういう投資をずっと続けている人で、それでノーザンファームをここまで大きくしたのです」

 と、先の競馬記者。

「実は、社台グループの中でも吉田3兄弟の間でかなり“格差”が出てきています。もちろんダントツなのはノーザンファーム。GIレースの出走馬を見ても、ノーザンファームが圧倒的に多く、時折、社台ファームを見かけるくらいです。日本の競馬界はノーザン一強になっています」

 国内に敵なし。吉田氏の“次”のターゲットが世界の富豪となるのは、必然だったのかもしれない。

「吉田さんはイギリスのロンドンで馬を売り買いしている大富豪たちの目を自分のところに向けさせたいのでしょう。日本という国は、アラブの王族たちにとってはやっぱり遠く、まだまだな国ですからね……」

 とは、競馬業界関係者。

「あと、今年の7月にディープインパクトが死んでしまったことも大きかったと思います。ディープインパクトの種付け料は一番高い時で1回約4千万円。1年で200回種付けするとして、全部で80億円です。ノーザンとしては、とんでもない金を稼ぎ出していたディープインパクトが死んでしまった“穴”を埋める必要があるのです」

 無論、カジノ誘致が実現しなければ、吉田氏が描く様々な“夢”は全て幻に終わる。

 では、そのカジノを巡る今後のスケジュールはどうなっているのかと言えば、すでに“待ったなし”の状況である。約2カ月後の来年1月7日に政府はカジノ運営を監視する「カジノ管理委員会」を設置。20年度内にも最大3カ所のカジノ開設地を決める予定となっている。が、北海道の鈴木知事はまだ誘致表明を行っていない。

「北海道新聞が行っている世論調査では、道民の6~7割がカジノに反対している。また、北海道新聞は紙面でカジノ反対のキャンペーンをはっており、道民の意識を変えるのは中々難しい状況。そのため、鈴木知事は誘致表明に二の足を踏んでいるのです」

 と、先の道政関係者。

「さらに鈴木知事にとって頭が痛いのは、与党である自民党の道議会議員が一枚岩でないところ。自民党の所属でありながらカジノは大反対と公言している議員がいるのです。また、創価学会も婦人部がカジノに反対しており、公明党の議員もどちらに転ぶか分かりません」

 つまり、鈴木知事にとってカジノ誘致表明は、政治家としての今後の命運を左右しかねない“賭け”となる。決断のためには誰かに背中を押してもらう必要があるが、東京五輪のマラソンと競歩の「札幌開催案」はまんまとその材料として使われたわけだ。

 五輪マラソンまで呑み込んで膨れ上がる「北海道カジノ利権」。ポーカーフェイスを崩さないプレイヤーたちの“騙し合い”はすでに始まっている――。

週刊新潮 2019年11月14日号掲載

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