五輪マラソン札幌移転の裏に「橋本聖子五輪相」と「北海道カジノ利権企業」の繋がり

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世界の富豪

 両者の結びつきを示すのは、「献金」だけではない。吉田勝己氏が経営する「ノーザンホースパーク」では11年から毎年、ノーザンホースパークマラソンが行われているが、その大会会長を務めているのが橋本大臣なのである。

「このマラソン大会の開催にこぎつけるために、橋本さんが尽力したという情報もあります」

 と、道政関係者。

「大規模なマラソン大会となると警備上の問題から警察との協力が欠かせないのですが、その許可を取るのがなかなか難しい。そこで動いたのが橋本さんで、北海道警に度々かけあったと言われています」

 橋本大臣の事務所にノーザンファーム及び吉田勝己社長との関係について聞いたところ、

「安平町早来、苫小牧市は橋本が生まれ育った故郷であり、全国比例とはいえ、地元の皆様には広く支援いただいています。『ノーザンファーム』代表の吉田勝己氏にもパーティ券も購入いただいており、法令に基づいて適正に処理しています」

 との回答が寄せられた。

 では、橋本大臣と様々な繋がりを持つ社台グループは「北海道カジノ」に如何なる形で関わっているのか。

 道内の優先候補地となっている苫小牧市。IOCの調整委員会で東京五輪マラソンの札幌開催が正式に決定する直前の10月28日、苫小牧市議会でカジノ誘致を求める決議案が可決されたことは本誌11月7日号でお伝えした通りだが、

「ノーザンファームの吉田勝己さんは、カジノ誘致を推進する『苫小牧統合型リゾート推進協議会』の副会長を務めています」(苫小牧市政関係者)

 それだけではない。吉田氏の“本気度”が分かる記事が10月2日付の北海道新聞朝刊に掲載された。

〈IR用地「ノーザン」提供 誘致時 苫小牧市に約100ヘクタール〉

 そんな見出しの記事によると、道がカジノ誘致を決め、苫小牧市内での誘致が固まった場合、前出の「ノーザンレーシング」社が約100ヘクタールもの土地を市に無償譲渡する方向で調整しているというのだ。同社の社長は吉田勝己氏。いかにカジノ誘致の旗振り役とはいえ、広大な土地をポンと寄付するとは何とも太っ腹――と思っていたら、どうやらそうではないようだ。そこには“戦略”があるのである。

「カジノ誘致に成功すれば、ノーザンレーシングの吉田さんは無償提供した土地の代金などすぐに回収できるほど大きなメリットを得ることになります」

 と、先の苫小牧市政関係者は言う。

「馬を購入する馬主は日本だけではなく、全世界にいます。しかし現状では、そういう人たちが苫小牧に来たとしても泊まれるところがない。それを解消してくれるのがカジノ。カジノが出来て高級ホテルが建ち、新千歳空港にプライベートジェットの発着場まで整備されたら、世界の富豪、例えばアラブの石油王とかヨーロッパの貴族などがどんどん苫小牧にやって来るようになるはずです」

 現状では、世界の富豪たちがノーザンの馬を購入する場合、ネットなどを利用することが多いが、

「苫小牧に高級ホテルがあれば富豪たちは実物を見て馬を買うことが出来ますから、今とは比べ物にならないほどのお金がノーザンに落ちるようになるでしょう」(同)

 世界に目を向けたビッグビジネスチャンス。土地の無償提供はそのための「先行投資」というわけなのだ。

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