好調「ドクターX」の死角 視聴率が20%を超えない要因は“悪役”?

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4本のドラマに業界人は注目

 現在、第6シリーズが放送されているテレビ朝日のドル箱ドラマ「ドクターX」(木曜午後9時)が相変わらず好調だ。11月7日放送の4話を終えた時点での平均視聴率は18.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。秋ドラマの中で断トツのトップだ。ところが、「視聴率が落ちた」「マンネリ」との報道が相次いでいる。本当か? 検証してみた。

 米倉涼子(44)主演の「ドクターX」は2012年の秋ドラマとして第1シリーズが始まった。平均視聴率は19.1%。この年、テレ朝は1959年の開局以来、初めてプライム帯(午後7~11時)で年間トップに立ったが、その推進力となったのがこの「ドクターX」だ。

 以下、第2シリーズからの平均視聴率である。いずれも秋ドラマとして放送された。
●第2シリーズ 2013年23.0%
●第3シリーズ 2014年22.9%
●第4シリーズ 2016年21.55%
●第5シリーズ 2017年20.9%
 凄まじいまでの高視聴率である。よく「趣味が多様化した現代では高視聴率ドラマは生まれない」などと言われるが、それが間違いであることが分かる。

 ほかでも指摘されているが、もはや「ドクターX」は全盛期の「水戸黄門」(TBS、1969年~2011年)と言えるだろう。両ドラマには高視聴率のほかにもいくつかの共通点がある。

(1)視聴者年齢層が幅広く、2世代、3世代が一緒に楽しめる
(2)どんな難問も最後は印籠か、フリーランス外科医・大門未知子(米倉)の手術によって片が付く。それにより、見る側はカタルシスが得られる
(3)「善」が敗れることはないので、安心して見られる――
 加えて、ともに基本的には1話完結なので、見逃してしまい、ストーリーが分からなくなることもない。

「ドクターX」を「マンネリ」と指摘する声もあるが、「水戸黄門」もマンネリを貫いたからこそ高い支持が得られた。例えば、水戸黄門様が悪党に敗れたり、大門未知子が手術ミスを犯してしまったりしたら、魅力ゼロになってしまう。大衆ウケする作品はいつの時代もマンネリを大切にする。

 とはいえ、放送中の「ドクターX」第6シリーズの視聴率が微減していることは確か。まだ一度も20%の大台を超えていない。その理由を考えてみたところ、いくつか浮かび上がった。

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