台風15号・千葉県「ゴルフ練習場」鉄柱倒壊…補償めぐり被害住民が分断

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「仕方なかった」

 同じく自宅が全壊した別の男性はこうも言う。

「やっぱり全壊した家と、そうでないお宅では、積極性が違いますよ。損壊の酷い家は、鉄柱を固定していたボルトは赤く錆びていたとか、ゴルフ練習場に瑕疵がないかを自分たちで徹底的に調べている。一方、被害がそこまででない家は説明会でも“補償、補償”って連呼するだけですから」

 実際、天井が一部破損しただけという住民は、

「取材って言われても、何にも分からない。今後についてはこっちが教えて欲しいくらいで。仕事が忙しくて補償のことは全く知らされてないもの」

 20年ほど前に造成された住宅街で、町内会のような組織がないのも分断に拍車を掛けているというのだ。

 混乱を拡大させたゴルフ練習場はどう答えるか。

 運営会社社長に問うと、

「補償についてはお家によって異なるので、こちらで判断できない部分は弁護士さんに手伝って頂き、金額にもよりますが、出来る限りのことはしたいと思っています。こんなことは言い訳だと言われるかもしれないのですが、天災で瞬間風速50メートル以上の風が吹いたとなれば、仕方なかったのかなと思います」

 癒えない傷を負った被災者たちの、溜息ばかりが聞こえてきそうなのである。

週刊新潮 2019年11月14日号掲載

ワイド特集「稲妻走って『豊凶』占い」より

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