河井案里議員のウグイス嬢「日当3万円」疑惑 専門家に「プロじゃない」と言われる理由

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地響きのような迫力

 過去に事件になったケースをみると、ウグイス嬢は日当3万円が相場のようだが、

「確かに、3万円という金額はよく聞きます。しかし、プロのウグイス嬢だと、相場は6万円になります」

 と解説するのは、先の選挙プランナーである。誤解なきように言っておくと、ウグイス嬢といっても、学生など経験のない人は日当1万5000円、司会者やバスガイドなどは3万円が相場だという。ここで言う「プロ」とは、司会者やバスガイドが副業で行うものではなく、ウグイス嬢を専門職にしている人たちのことだという。

 ウグイス嬢と言っても、それぞれ役割分担があるそうで、

「ウグイス嬢は5~6人のチームを組む場合が多い。その場合、1人リーダーを決めて、彼女がチームを取り仕切ります。その下に遊説のコースを選定する者、遊説の原稿を書く者という具合に役割を決めます。ウグイス嬢は、カラオケが上手くて声が大きい人でないと務まりません。少し声が良くて、ちょっとやってみないかと誘われたからと言って、できるものではありません。例えば、街をまわっている時は、状況に応じて話し方を変えねばなりません。車がスピードを上げると、話すスピードも上げます。病院の前を通る時は、音量を落とします。候補者の地元を走る時は、小さな声で話します。対立候補の車とすれ違う時は、互いにがんばりましょうと声をかけねばなりません。色々と、票を獲得するためのマナーがあるのです」

 国会議員はお抱えのウグイス嬢は少なく、地元の県議や市議が使っているウグイス嬢を使う場合が多いという。

 中には、必ず候補者を当選させる“カリスマウグイス嬢”もいるという。

「10年ほど前に、群馬のカリスマウグイス嬢の遊説を聞いたことがあります。もう、声の迫力が半端ではありませんでした。きれいに澄んだ声ではなくて、地響きのような声です。一度聞いたら忘れられません。今も現役だったら、70歳を超えているでしょうね。すぐれたウグイス嬢は、候補者の格を上げ、この人に投票したいと思わせるような遊説ができる人ですね」

 河井案里議員の疑惑については、こう本音を語る。

「報道によれば、参院選挙の投開票日に河井案里さんの秘書が選挙事務所のスタッフルームで、ウグイス嬢に報酬を渡し、領収書を書かせています。第三者も大勢いるところでお金のやりとりをするなんて、通常は、ありえません。こういう場合、お金を払う側とウグイス嬢の2人だけでやりとりするものです。はっきり言って、選挙のプロの仕事ではないですね。プロのウグイス嬢は、法定上限額以上の報酬を受け取っても、それが表に出ないように完全に裏で処理します。その処理方法に関しては、これ以上、私の口からは言えませんが……。だから事件にもならないわけです」

 公選法も見直した方が良さそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年11月8日掲載

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