「ながらスマホ遺族会」結成 私の妻を衝突死させたワゴン運転手の呆れた隠蔽工作

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「ながらスマホ運転」による交通事故が、この数年、急増中だ。2018年の9月10日には、バイクを運転していた新潟県魚沼市の井口百合子さん(当時39)が、スマホで漫画を読みながらワゴン車を運転していた男に追突されて死亡した。百合子さんの1周忌となる今年9月、夫の貴之さん(47)は「ながらスマホ運転被害者遺族の会」を立ち上げた。

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 警察庁の統計によると、スマホの画像を見ながら運転して事故を起こしたケースは、2008年は300件だったが、18年は966件と3倍以上に増えている。スマホなどを使用中の事故は、使用しない事故よりも死亡率が2・1倍も高いという。スマホに気を取られて、ブレーキも踏まずに事故を起こすケースが多いためだ。

「事故が起こったのは、21時11分でした。夫婦で那須塩原へ2泊3日の温泉旅行に行った帰り道、あと10分ほどで自宅に着くという時に、妻は事故に巻き込まれたのです」

 と、貴之さんが振り返る。

「バイク2台で南魚沼市の関越自動車道を走っていた時のことです。妻は私の後ろを走っていましたが、妻とはヘルメットに装着したインカムという無線機で会話をしていました。すると、いきなり『キャー』という妻の悲鳴が聞こえてきたのです。『どうした!』と声をかけても応答はありません。バックミラーを見ると、車のライトが見えました。急いでバイクを路肩に止め、駆け寄って行くと、もう大変なことになっていて……」

 百合子さんのバイクに追突したのは、運送会社のワゴン車だった。

「運転していた51歳(当時)の男性は、警察には対向車線を見ていたと証言していました。警察も脇見運転という前提で実況見分を行っていました。ところが、事故から3週間後の9月29日、警察から男性がスマホで漫画を読んでいたことを知らされました」

 当初、脇見運転による事故ということで、警察は実況見分後に男性を釈放していた。

「自宅に帰った男性は、スマホに残っていた漫画の履歴をすべて消したそうです。けれども、ワゴン車のドライブレコーダーに、男性が漫画を読んでいる映像が残っていたため、警察は男性を任意で呼んで逮捕に至ったのです」

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