「ながらスマホ遺族会」結成 私の妻を衝突死させたワゴン運転手の呆れた隠蔽工作

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事故を起こすと思っていた

 ドライブレコーダーを検証すると、そこには男性が頻繁に漫画を読む姿が映っていたという。

「男性は、高速に乗って8分後に事故を起こしていますが、ドライブレコーダーを見ると、その8分の間に、37秒、30秒、32秒という具合に、断続的に漫画を読んでいたことがわかりました。妻のバイクに衝突する16秒前には、レコーダーにはバイクのテールランプが映っていました。前方を見ていれば事故は防げたのに、ほとんど前を見ていなかったのです。80キロ規制の道路で、私たちは70キロで走行。一方、ワゴン車は約100キロで走っていて、ノーブレーキで妻のバイクに突っ込んだのですからひとたまりもありません」

 ワゴン車には、居眠り防止装置が搭載されていた。

「3秒以上脇見をすると警報音が鳴る『ひとみちゃん』という装置です。男性は警報音を無視して、漫画を読み続けたのです。警察が男性に対して、漫画を読みながら運転して事故が起きるとは思わなかったのかと問うと、『事故を起こすと思っていたが、やめられなかった』と話したそうです。もう、これは過失事故ではありません。明らかな危険運転です」

 今年8月、男性は自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)で懲役3年の実刑判決が確定した。

「こんな悪質な死亡事故を起こしておいて、たった懲役3年。単なる脇見運転による過失運転にしかならないのは理解に苦しみますね」

 今年の1月、百合子さんの事故がテレビのワイドショー『スッキリ』(日本テレビ系)で放送されたが、

「それを見た岐阜県多治見市の竹田直美さんから連絡をいただいたのです。竹田さんは、ながらスマホ運転事故で3年前に長女を失っていました。竹田さんは、ながらスマホ運転事故で親族を亡くした遺族らと連絡を取り合っていたので、『ながらスマホ運転被害者遺族の会』を立ち上げようということになったのです。現在、会に参加した遺族は、新潟、岐阜、神奈川、埼玉などに住む16人の遺族で、今後も参加者を募る予定です。10月12日に遺族の会の初会合を東京で開く予定でしたが、台風で延期となりました。いつ会合を開くか、今のところ未定です」

 貴之さんは10月に、Twitterで百合子さんの事故に関するアンケートを行った。

「懲役3年は、遺族感情では軽いと思いますが、一般の人はどう受け止めているのか知りたかったんです。懲役3年が軽いかどうか問うたところ、5300人以上から回答があり、92%が軽いと。また、ながらスマホ運転による事故は、危険運転致死傷害を適用すべきではないかと問うと、1400人以上から回答があり、96%がもっと重い罪にすべきと答えていただきました。私は、判決を覆す気はありません。ただ、ながらスマホ運転による死亡事故が、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失致死)ではなく、量刑の重い危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)となるよう、法改正していただけるよう訴えていこうと思っています」

週刊新潮WEB取材班

2019年11月4日掲載

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