W杯で増加「にわかラグビーファン」を定着させるには “企業の部活”からの脱却が課題

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スターが所属しやすい日本

 Jリーグを成功させた元チェアマンの川淵三郎氏もこれに同調し、

「ラグビーはサッカーやバスケットと比べて、日本のチームに世界的なスターが所属しやすい条件が整っている。南半球など、シーズンがズレている地域だったら、日本のリーグとの掛け持ちができますから。世界のトップクラスでも、1億円くらいの年俸で来てもらえる。むしろ、向こうから来たがっている。世界的なスターを呼ぶためのスポンサーも、ラグビーのOBには経営者が多いし、今回の活躍もあるから期待できる」

 目下トップリーグの各チームは年間15億円ほどで運営されている。一部はチケット代で賄えるものの、その多くはオーナー企業からの“ヘルプ”だ。

「ラグビーがプロ化して運営予算が増えたとして、20億円規模のスポンサーを集められるか否かがポイントでしょう。サッカーはJリーグが始まる前は、1チームあたり5億円程度の運営予算しかなかった。それがJリーグが始まると、様々な収益が膨らんだこともあって、一気に25億円くらいの規模になりました」(同)

 成功の秘訣については、

「プロ化は、各地にホームスタジアムを準備して、ホームタウン制度をどう根付かせるかにかかっています。世界の全てのプロスポーツは地域に根付いているから。それで観客が入って、チームが発展するのです」(同)

 折しも、ニュージーランド、南ア、オーストラリア、アルゼンチンの間で行なわれる「南半球4カ国対抗」に日本が加わる可能性も報じられた。他方、日本協会と現監督との契約延長交渉は決裂したとも伝えられている。いずれにせよ、にわかやバブルの熱は冷めやすいものだ。

週刊新潮 2019年10月31日号掲載

特集「死闘『ラグビー日本代表』の代償と報酬」より

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