盲目の漫談師「濱田祐太郎」がマラソン挑戦、そういえば最近テレビで見ないような……

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テレビ業界は出演を躊躇

 サンスポは10月12日(電子版)、「盲目のピン芸人、濱田祐太郎が大阪マラソン挑戦『少しでも長い距離を』」との記事を配信した。濱田祐太郎(30)は、2018年にR−1グランプリを受賞した漫談師。同期の1人に、ゆりやんレトリィバァ(28)がいる。

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 記事の見出しに「盲目」とあるように、濱田は先天性緑内障で生まれつき左目が見えず、かつては近い距離なら見えていた右目も、今は明暗が分かる程度だという。

 会場によっては介護者を伴って舞台に上がり、マイクの前に立つ。「実は僕ですね、生まれつき目が悪くて、今もほとんど目、見えてないんです。芸人に憧れて、吉本に入ったはいいんですけど、吉本に入ってからは目どころか自分の将来も見えなくなりました」という自虐ネタがつかみの定番だ。

 こうした説明を読んでもらったなら、「あ、テレビで見たことがある」などと思い出される方も多いだろう。だが、濱田祐太郎という名前だけで、姿やギャグが脳裏に浮かぶ人は少ないに違いない。実力は折り紙付きなのだが、最近はあまりテレビ出演の機会に恵まれていないようだ。なぜなのか、民放キー局でバラエティ番組の制作に携わるスタッフが内情を明かす。

「濱田さんは視覚障害者の本音や、世間の偏見といった“障害者あるある”を漫談で笑いに変えて、高い評価を受けています。ルックスも悪くなく、R−1でグランプリを獲得した時は、テレビ業界も『新たなお笑いスターが誕生した』と注目しました。ところが残念なことに長続きしませんでした。理由を端的に言えば、まだ視聴者の中には“障害者による障害者ネタ”で笑うのは抵抗がある人がいるということでしょう」

 障害者のギャグで笑っているはずなのに、障害者を笑いものにしているのではないかと心配になる――こんな視聴者も少なくないという。制作スタッフも「濱田さん本人は誰よりも笑ってほしいと願っている」ことは理解していても、視聴者の声を必要以上に恐れ、なかなかキャスティングができないという。

「視聴者だけではありません、共演者も気を使いすぎる傾向があります。ベテランの芸人さんでも、濱田さんに“からむ”のには注意を払う必要があるというのです。濱田さん本人のネタやトークを笑うのは問題ないのだが、そこにツッコんだり、かぶせたりするのを躊躇する芸人さんは決して少なくないのです」(同・スタッフ)

 こうした事情から、濱田をひな壇に出演させるのは難しいという。他にも「VTRを見て、感想トークで笑いを取る」ようなコーナーもできない。年末年始に放送される”ネタ見せ番組”では安定した実力を発揮してくれると期待する関係者もいるというが、“今どきのバラエティ番組”とは相性が悪いようだ。

 濱田はラジオのレギュラー番組を持っている。大阪のコミュニティFM局・YES-fmが放送している「オンスト」(金曜・16:00)だ。テレビと違ってラジオとの相性は良好だといい、吉本の劇場への出演と合わせ、しっかりとファンも掴んでいるという。

「ところが、今回のマラソン出場で、濱田さんの知名度が上がる可能性が出てきました。それがマラソンです。アマチュアランナーとして存在感を高めていけば、『24時間テレビ』(日本テレビ系列)からチャリティマラソンランナーの出演依頼が来てもおかしくありません。さらに来年は、東京パラリンピックも開催されます。濱田さんを必要とするイベントが増えるのは間違いなく、いよいよ本格的にブレイクできるかもしれません」(同・スタッフ)

週刊新潮WEB取材班

2019年11月3日掲載

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