台風犠牲者「名前は非公表」の是非 二階発言のイヤな感じ

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 台風19号の悪夢から2週間以上が経った。懸命な捜索の結果、報告される犠牲者数は日を追うごとに増えている。その事実を公表するのは各地の自治体なのだが、実は大半が匿名発表で実名を明かしていない。これで本当にいいのだろうか。

 10月30日現在、犠牲者は88名に及ぶが、氏名が公表された人の数は二十名あまりに過ぎない。被災した12県の判断で対応は真っ二つに分かれ、実に8県が非公表、つまり匿名で死者数を発表したのだ。

 たとえば、死者が30人と最も多い福島県は全員匿名を貫いた。その理由を県の災害対策課に尋ねると、

「東日本大震災でも同じ対応でしたが、遺族に配慮するという観点から、氏名は一切公表していません」

 同じく匿名の群馬県危機管理室が言うには、

「全てのご遺族にご意向を伺った結果、氏名の公表はしないということになりました」

 各々が遺族感情を口にするが、今年7月に起きた「京アニ事件」でも、遺族が公表を望まないことから、当初、警察が匿名発表を行う異例の対応を取った。この世に生きた証を残して欲しいと、自ら実名を公表する遺族も出るなど賛否両論が噴出したのは記憶に新しい。

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