武蔵小杉「高級タワマン」資産価値低下が気になって仕方ない住人たちの嘆息

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「インフラ整備の問題点」

 先とは別の武蔵小杉周辺の不動産業者は、

「東京都心にすぐに出られて、タワマンが林立する近未来的都市の魅力で売る武蔵小杉の人気は、そう簡単に落ちないでしょう。武蔵小杉を避ける動きは、一過性で終わると思います」

 と、街の底力を分析し、タワマン住民を安心させてくれるのだが、他方で、タワマン事情に詳しい住宅ジャーナリストの榊淳司氏は、

「自殺者が出るなどのいわゆる事故物件の資産価値は、その地域の相場より2割ほど下がる傾向があります」

 と指摘した上で、こう予測するのだった。

「武蔵小杉の街は、タワマンと駅前のショッピングモールを中心に急速に『オシャレな街』として発展しましたが、下水処理の方法が生活排水と雨水を同じ管で流す『合流式』だったりして、インフラ整備が追い付いていない問題点が明らかになりました。タワマン住民も安値で売るのに抵抗して頑張るため、すぐに値下がりは表面化しないでしょうが、数年後には2割ほど資産価値が下がっていると思います」

 住みたい街の価値をも一変させようとしている――。改めて、台風19号の「負の価値」の大きさを思い知らされる。

週刊新潮 2019年10月31日号掲載

特集「『モンスター台風』が切り裂いた人間模様」より

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