いま一番ヤバいDV男の特徴は「外面だけは好印象」――強烈なモラハラと「暴力的行動」で、女性に恐怖を植え付け支配する

国内 社会 2019年10月24日掲載

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 近年、DV(ドメスティック・バイオレンス)に端を発した痛ましい事件が後を絶たない。目黒女児虐待死事件で、被害者の船戸結愛ちゃんの母・優里被告は、夫の雄大被告にDVを受け「洗脳」状態になり、虐待に加担したという。DV夫はなぜ暴力をふるうのか? 被害を受けた妻はどうすれば現状打破できるのか? DVや貧困などの困難を抱えた女性の自立支援をするNPO法人「くにたち夢ファーム Jikka」代表の遠藤良子さんに話を聞いた。

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加害者への罰則がまったくない「ザル法」

――現在のDV防止法で、遠藤さんが問題だと思う部分はどこでしょうか?

遠藤:DV防止法に、加害者を罰する規定がないこと。「とにかく被害者を逃がすこと」のみに集中しており、非常に不備な法律です。

――え? DV防止法には、加害者への罰則がないんですか?

遠藤:DV防止法による被害者救済の法的根拠は、戦後に作られた婦人保護事業、つまり売春防止法による「保護する必要のある女子を対象にすること」を基本にしたものです。その目的は、「売春」という違法行為を不本意に強要されている女性を「保護し矯正する」こと。そもそもなんで「売春する」ハメになったのか、そこにある女性蔑視や女性差別的な要因を鑑みもせず、女性を「保護・矯正」する――そういう思考回路、社会構造の中で作られた法律に、“接ぎ木”するように作られたものです。暴力=犯罪なので、そうした犯罪被害を受けた女性を救済保護するという目的だけで、男性支配から脱出したいという意味でのDV被害者のために作られた法律ではないんです。

 かつては「夫婦喧嘩」は「民事」不介入として放置されていました。それが殺人やあまりにひどい傷害に発展する事件が起き、「夫婦だから許されるという話か」という多くの女性たちの運動によってDV防止法が作られました。もちろんできた当初から何度も改正してはいますが、本質としては「男性中心の社会構造」を反映したもの。「(一般的に被害者の多数派である)女は食わせてもらっているんだから、暴力はよくないけど我慢は必要なんじゃない?」という本音が透けて見えます。

――とすると、加害者を罰する法律は?

遠藤:刑事訴訟法です。ただ、ひどい暴行で大ケガを負ったり、殺人未遂的なところまでいかないかぎりは、逮捕に及ばないこともあります。私が見てきた中では、妻は鼻を折られ歯も折られ、手術が必要なほどひどい暴行を受けたのに、それをやった夫が、逮捕はされたものの、拘置所に1泊しただけ、そのまま何のお咎めナシという一件がありました。

――ええっ⁉

遠藤:妻は、検察庁で「その程度の傷害は山ほどある」と言われたそうです。刑事訴訟法に照らしたら、大した罪じゃないね、と。

――ええええっ!

遠藤:男性の検察官は、暴力に対して過小評価するところがあるんです。確かに刃物を使った殺人未遂などの案件がたくさんある中で相対化すれば、「女房の鼻をへし折ったくらいどうってことない」と思うのかもしれませんが、そんな扱われ方はあまりにひどい。妻は子ども2人抱えて、手術して何週間が入院して、それでも告訴ができなかったんです。

――その方は、ご離婚は?

遠藤:しました。夫は中央省庁のエリート官僚でしたが、仕事のストレスからか、暴力が始まるとすさまじかった。彼女も最初は「仕方ない」と我慢していたんだけれど、耐えきれずに相談に来て、シェルターに入りました。自分でアパートを借りて落ち着いてきた頃に、泣き寝入りはイヤだから、訴えたいと。彼女は離婚で何もかも失い、母子家庭で最底辺の生活を強いられているのに、夫は社会的制裁も受けず反省もせずに、それまで通りに暮らしている。それでも警察は、一応被害届を受理して書類送検してくれたけれど、検察庁に棄却されました。

――なぜでしょう。まさか高級官僚だからでしょうか?

遠藤:それはわかりません。でも相手の男がヤクザとか貧困家庭出身とかだったら、訴訟が成り立ったかもしれません、逆に言うとね。

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