今年だけで5件…相次ぐ犯罪者逃走事件「裁判官」が治安を破壊している

社会 週刊新潮 2019年10月17日号掲載

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 これじゃ安心して街も歩けなければ、夜だっておちおち眠れない。またも“犯罪者”の逃走事件だ。恐喝未遂で実刑判決を受けて控訴に及んだ男が今月1日、勾留の執行停止中に姿を消した。身柄は4日後に確保されたが、なんだか同様の手落ちが多すぎやしないか。

 今回逃げた高橋伸(45)は、今年8月に懲役1年6カ月の実刑判決を受け、立川拘置所に身柄を勾留されていた。司法記者によると、

「控訴中だった高橋は精神科での診察を希望し、勾留の執行停止を申し立てた。検察側は“逃亡する恐れが高い”として抗告したのですが、裁判所が被告・高橋側の言い分を認めました。そして病院に向かう際に逃亡したわけです」

 だが、そのこと自体は犯罪にあたらないのだという。

「高橋に逃走罪や加重逃走罪は適用されません。これらはあくまで拘禁されている者が対象で、今度のように勾留の執行が停止された“自由が認められている者”に対しては適用されないからなんです」(同)

 法の隙間が露呈した形になったわけである。

 だが、そもそもなぜ裁判所は検察が反対したにもかかわらず、この男を“自由の身”としたのだろうか。

 検察関係者が嘆く。

「2010年に発覚した大阪地検特捜部による証拠改竄事件の影響が無視できません。あれ以来、検察に対する裁判所の不信が高まり、検察が勾留の執行停止や保釈に“不同意”と意見しても、裁判所に取り合ってもらえないケースが相次いでいる。そうした現状に、検察内部には諦めムードすら漂っています」

 たしかに08年時点で全国の裁判所が保釈を認めた割合は14・4%にとどまっていたのにくらべ、18年には32・5%と倍以上に増えているのだ。

 検察関係者が続けるには、

「勾留の執行停止といえば、以前は被告の命に別状があるとか、健康に重大な問題が疑われる症状でもなければなかなか認められなかった。しかし、16年には暴力団組長が娘の結婚式に出席したいと申し立てた事例さえ通ってしまうなど、すっかり様変わりしています」

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