田中角栄に見いだされた山東昭子参院議長の抱腹絶倒節約術

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 ひっ迫した財政を建て直すため、食べられる植物(ウコギ)を生け垣にすることを勧め、自らも一汁一菜を実践したのは、米沢藩主の上杉鷹山である。そこまでせずとも、この本を読めば2%の税金ぐらいは取り戻せるかも知れない。

 臨時国会では、早くも与野党のバトルが始まっている。参議院を切り盛りするのは8月に議長に選ばれたばかりの山東昭子氏である。なかでも消費税引き上げの是非をめぐる論戦では、手腕が問われるところだが、かつて、税の痛みを和らげてくれるような“名著”をものしていたことをご存じだろうか。

『個性派の節約178の作戦』(KKロングセラーズ)という本が出版されたのは、1974年のこと。著者はまだ国会議員になる前の山東氏だ。

「子役からスタートし、テレビの司会や女優として活躍していた山東さんは、生活に関する評論活動も行っていたのです。いわば、マルチタレントのはしりですが、その才能に目を付けて政治の世界に引き込んだのが田中角栄氏でした」(古参の政治部記者)

 どんなことが書いてあるのかというと、

〈とけたアイスクリームはサラダに使え〉

〈ダンボールは折りたたんでとっておこう〉

〈パセリは(買わずに)自家園芸で作ろう〉

〈仏滅の日に結婚式をあげよう〉

〈PB商品はお買いドク〉

〈新旧混ぜて使う乾電池は“反節約”〉

 等々、今も使えそうなノウハウがぎっしり。そうかと思えば〈タバコ3本吸って1本再生しよう〉とか、伝線したパンストは捨てずに片方だけ切り落とし、重ね穿きすれば防寒になる――など、妙な節約術も。

「その本は、自分で書いたのではなく、出版社の人が聞き書きのような形でまとめてくれたものなんです」

 とは、山東氏ご本人である。

「私は大事なものは躊躇せずに買うタイプ。そのためにも無駄遣いしないように心がけていました。40年以上前なので、使えないノウハウもありますが、今でも事務所では段ボールを捨てずにとっておくようにしているんです」

 で、この本が消費税増税に対する“生活防衛策”になるのかと聞くと、

「どうかしらねえ」

 参院議長はそう言って大いに笑うのであった。

週刊新潮 2019年10月17日号掲載

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