「江頭2:50」が地上波テレビから消えた! アンガールズ田中では代わりはつとまらない

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猛獣使いが生まれない

 前出の民放プロデューサーは言う。

「ちょうどこの頃、エガちゃんのイメージがぐらつき始めました。11年の東日本大震災で、彼は人知れず、2トン車を運転して救援物資を運んだ。自身は大人しく帰ってくるつもりが、当然SNSなどで目撃情報が広まり、“実はいい人”というイメージが広まり始めた。11年の“嫌いな芸人”ランキングで2位に陥落し、V10が果たせなかったのは、この影響だと言われています。彼はネット番組で、『俺を潰す気か! いい人キャラにするな!』と怒っていました」

 その焦りが生んだのか。13年5月25日、タワーレコード新宿店で行われたネット番組「江頭2:50のピーピーピーするぞ」のDVD発売イベントで、全裸事件を起こす。そのまま客席にダイブしたが、なぜか下半身丸出しで観客に胴上げされるという事態に。観客はファンがほとんどだったとはいえ、ライブでもないのに、予想外の展開だった。

 だが、これを苦々しく思ったのが警視庁だ。公然猥褻の疑いがあるとしてエガちゃんを事情聴取。書類送検され、略式起訴で罰金20万円が下された。

 エガちゃんがテレビに復帰したのは、5カ月後の「めちゃイケ」だった。

「おかげで彼は、14年の“嫌いな芸人”で1位に返り咲いた。しかし、テレビ業界的には、本来、起訴までされた芸人を使うのは勇気がいりますよ。ですが、『めちゃイケ』のプロデューサー(総監督)は、猛獣使いとして名高い片岡飛鳥さんですからね。その片岡さんを師と仰ぐのが、『アメトーーク!』の加地倫三プロデューサーです」(同)

 エガちゃんを使うプロデューサーには系譜があるのか。

「元祖はテリー伊藤さんでしょうね。エガちゃんのような芸人は、ひな壇芸人でもなく、『お笑いウルトラクイズ』(日本テレビ)や“あさヤン”こと『浅草橋ヤング洋品店』(テレ東)などで、体を張って笑いを取る芸風です。無茶を笑いに変える芸人さんです。そのハプニングを笑いに変えたりフォローするのが、テレビの演出家であり共演者です。しかし、コンプライアンスばかりが厳しくなった今、いきなり全裸になったりする芸人さんを使いこなせるスタッフは、なかなかいません。だからこそ、エガちゃんの代わりというわけではないのでしょうが、アンガールズ田中卓志が、キモキャラとして多用されているのでしょう。彼も“嫌いな芸人”として、かつてはランクインしていましたが、実は頭もいいし、コメンテーター的な役割もできますからね。業界での人気も高いですよ」

 そりゃあエガちゃんは、コメンテーターはやらないだろうけど、アンガールズではエガちゃんの代わりは務まらない。

 17年に、NHKの放送文化賞を受賞したタモリが、NHKに初めてレギュラー出演した「ばらえてい テレビファソラシド」についてこう語っていた。

「当時、私は今で言うと、江頭2:50と同じような扱いでして。あれは何するか分からないから、番組に呼ぶなという風潮の中、(NHKに)レギュラーとして初めて出まして。当時の思い出が一番印象に残っています」

 キワモノ芸人から大物になった芸人は多いが、ひたすらキワモノを究めようとする唯一無二の芸人がエガちゃんかもしれない。彼が受難の今、バラエティに熱心で、笑いに一家言ありそうなNHKが使ったら、どうだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2019年10月4日掲載

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