“天皇皇后両陛下のお手振りなし”で騒ぎに 令和流の「お召し列車」事情

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 国体開会式ご出席などのため、9月28日から1泊2日の行程で茨城県へ赴かれた天皇皇后両陛下。現地までは「お召し列車」でのご移動で、特別仕様での運行は令和に入って初ということも手伝い、鉄道ファンを中心に大きな注目をあつめた。ところが“お姿が見えなかった”と、これが思わぬ波紋を呼んでしまい……。

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 東京駅を発ち、常磐線勝田駅までおよそ90分のご乗車となった今回の運行。沿線の各所では多くの市民や鉄道ファンがカメラを構えていたのだが、

「両陛下の乗られている車両は一部カーテンも下げられ、お姿が窺えない形になっていたのです」(皇室ジャーナリスト)

 平成の時代には、上皇ご夫妻はお召し列車内でほぼ全行程にわたってお手振りをなさっていたゆえ、ネット上では騒ぎに発展してしまった。

「鉄道ファンを中心に、思っていた写真が撮れなかったことへの不満などが、相次いで投稿されました。その文言は『人生に一度と思ってお召し列車を撮影に。(中略)カーテン閉まっていて残念』『今の上皇がしてきた対応と比べると、明らかにドライ過ぎて残念極まりないですよね……』などといった内容だったのです」(同)

 結論からいえば、両陛下がまったくお手振りをされなかったというのは、“誤報”あるいはデマである。実際、水戸から勝田までの区間で、両陛下がお立ちになって手を振られている写真が、ネットに投稿されてもいるのだ。

 平成流を“標準”と勘違いしたゆえの混乱だが、なぜこのような事態が起きたのか。同行していた宮内庁担当記者は「両陛下は車内でご昼食をとられる予定になっていました」と明かす。

「といっても、我々が出張で駅弁をかき込むのとはわけが違う。周りの職員との打ち合わせも兼ね、時間をかけて召し上がるため、その間は、もちろん立ち上がってお手振りなどはできません」

 宮内庁関係者によれば、かつて上皇さまが在来線の車中で食事を召し上がったことは「記憶にありません」というから、こちらも“令和流”といえるだろう。背景にあるのは、皇后陛下のご体調事情だ。上皇ご夫妻が2泊3日のご日程で三大行幸啓などに臨まれてきたのに対し、御代替わり以降、天皇皇后両陛下は1泊2日のご日程で、宿泊を伴うご公務に臨まれてきた。

「極力、皇后陛下にご負担のかからないスケジュールを組んでいるのです。ただしその分、一日ごとの行程はタイトになる。到着後の昼食の時間も削らざるを得ず、今回はやむなくこのような形になったといえます」

 10月3日発売の週刊新潮では、思わぬ物議を醸した「お召し列車」について詳しく報じる。

週刊新潮 2019年10月10日号掲載

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