尾野ちゃんが話題沸騰! ヒットドラマの鍵を握るのは主役ではなく“ヤバイ”脇役女優たち

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 主役ならまだしも、脇役の名前を覚えているドラマはなかなかない。その点、先日最終回を迎えた「あなたの番です」の「尾野ちゃん」は大きなインパクトを残した珍しい例ではないだろうか。

「我々は秋元康の手のひらの上で踊らされていたのだな」という印象もぬぐえないラストだった「あな番」。ネット上の考察合戦も盛り上がっていたが、改めてこのドラマのMVPは奈緒演じる尾野ちゃんだろう。目を見開いた狂気の演技やグレート・ムタばりの毒霧吐きが光っていた。彼女の怪演なくして、ここまで「あな番」は盛り上がらなかったに違いない。彼女が犯人だったらさすがにひねりがなさすぎるが、殺人犯級の「ヤバい隣人」だった、というのもまたホラーではある。

 考えてみれば今期ドラマのヒット、脇役女優たちの貢献が大きいのではないか。しかも、どちらかといえば嫌な役の脇役女優である。例えば、「凪のお暇」でも瀧内公美演じる足立さん。美人でおしゃれで要領が良い同僚、でもひと皮むけばマウンティング好きなヤバい腰掛けOLを好演している。尾野ちゃん的なナタを振り回すようなぶっとんだ怖さというより、薄い紙で指を切ってくるようにジワジワとイヤーな感じを出してくる。でもあの「ザ・陰湿な女」という感じがなければ、凪の息苦しさというのは際立たなかったし、視聴者の共感を呼ばなかったのではないか。

「これは経費で落ちません!」でも、ゲスト枠のベッキーの「イヤな感じ」は白眉であった。でも今回は主人公の後輩役・真夕ちゃん役の伊藤沙莉に注目したい。彼女はハスキーな声が特徴的で、役柄によっては必要以上にガサツな印象になりがちだ。昨年秋の「獣になれない私たち」での松任谷さん役の時は、責任を負いたくない、面倒くさがりでちゃっかりした同僚という役どころだったが、まさに彼女の声は「ヤバさ」を強調していた。しかし今回の主人公を支える後輩役においては、元気で素直なイメージ作りにひと役買っている。ガッキーにしろ多部ちゃんにしろ、鈴を転がすような高い可愛い声の持ち主であり、仕事にきっちりした(かつ、恋愛は不器用な)役だったので、伊藤の声は主役の真面目さや健気さをより引き立てる力があるとも言えるだろう。

 また「奪い愛、夏」で準ヒロインの松本まりか。彼女も昨年ドラマ「ホリデイラブ」で、ヒロインの夫のヤバい不倫相手役を演じ、そのあざとさと暴走っぷりで一気に知名度を上げた。とはいえ今回の「奪い愛~」は水野美紀と田中みな実という、松本に劣らぬ怪演女優だらけ。小池徹平や小手伸也ら男性陣の熱演も含め、キワモノ博覧会という体で楽しむのが正しい鑑賞法かもしれない。

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