岡田有希子「最後のファンミーティング」で流された「未公開テープ」に涙が止まらない

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最初で最後の公開

 一つは、岡田の履いた練習用シューズだ。藤色のほっそりした靴が初公開された。そしてもう一つが、これも初公開、コンサートのリハーサルでの歌声だった。

「85年の夏のツアーに先立って、所属するサンミュージックの本社5階のリハーサルスタジオで収録されたものです」

 と語るのは、先の山口氏。「Summer Beach」「彼はハリケーン」「恋人たちのカレンダー」「16BEAT」「Sweet Planet」など、たっぷり7曲がかかった。曲が始まると、思わず涙ぐむ女性、目を閉じ深く聞き入る男性――しばし三十数年の年月が消え去ったのだった。

 そして最後は、岡田がコンサートのアンコールで歌う「Believe In You」に合わせて全員が大合唱。ここでも感極まって涙する人の姿があった。催しは深い感動のうちに終えたのだが、

「これが最後です。一つには、出す材料がなくなったこと。また、死者で商売をするなとか、売名行為だというネットの批判もこたえた。私はこれでお金をいただいているわけではありません。個人のお金でやっている。でもそれも限界に近づきました。昨年、ユッコ(岡田)は三十三回忌を迎えました。弔い上げが終わり、それも一つのきっかけになりました」(同)

 ラジオ番組の方でも、今後は同時代のアイドルに広げていくことを模索している。ただ、岡田の未公開音源はまだあるのだと言う。

「一部は前回の会で流しましたが、コンサートの音源が4本あり、合計で約6時間、カセットに残っています。またリハーサル音源は今回流したものの元のテープが2時間ほどある」

 もっともそれらを世に出すのは、権利関係から難しいらしい。今回もクローズドで営利目的でないファンミーティングだから流せたというわけなのだ。

「だから、あの歌声がもう世に出ることは絶対ない。本当は誰かがあとを引き継いで活動を続けてほしいと思っていますけども」

 山口氏は寂しげにそう語るのだった。

週刊新潮 2019年9月5日号掲載

ワイド特集「紳士と淑女の宿題」より

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