巨人がいよいよ天王山、DeNA「今永昇太」の攻略法【柴田勲のセブンアイズ】

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 巨人がいよいよ「天王山」を迎える。これまでもう一山という言葉を使ってきたけど、10日から4ゲーム差のDeNA3連戦だ。

 さらに広島、阪神と続く7連戦をどうしのぐのか。DeNAは3タテを狙ってくるだろう。

 数字上は巨人が有利(注)とは言え、勝負はゲタを履くまで分からない。ここは是が非でも勝ち越す必要がある。今後、どのチームも巨人に全力で向かってくる。

 そう楽に優勝させてくれない。その分、優勝した時の喜びは大きいのだが。

 ことに今季のセ・リーグは何度も言うが、連勝したと思えば連敗、連敗したと思えば連勝のケースが多い。中日だって、ここに来て、巨人、DeNAを3タテして6連勝している。なにかのきっかけが連勝や連敗の大波を呼ぶことになる。

 巨人、7日のヤクルト戦(神宮)に快勝して6連敗を脱した。私、巨人の連敗中は相手投手が実によく見えた。それもそのはずだ。巨人の打者は難しいボールに手を出して、甘いボールを簡単に見逃していたからだ。

 時に1発やタイムリーが出ても、つながりがなかった。「打線」として機能せず、「打点」だった。

 ペナントレースで一番大事なのは残り30試合をいかに戦うかだ。それが巨人、悪い状態でぶつかった。7日のヤクルト戦は一転して先制、中押し、そしてダメ押しと理想的に進んだ。

 本物かと言われれば、6連敗を見ているだけに、簡単に首をタテに振れない。その意味で8日の台風接近による中止は1つのアクセントになったのではないか。私も経験したが、ペナントレースで苦しい時、「恵みの雨」があったりすると、ホッとしたものだ。

 10日からのDeNA3連戦は2勝5敗と分の悪い横浜スタジアムだ。仕切り直しへいい休養になったと捉えたい。

 先発は抑えとして獲得したライアン・クックだ。先発投手陣の駒不足からの起用だが、これはもう投げて見ないと分からない。

 それよりも相手のエース左腕・今永昇太への対策だ。これはもう、相手の甘い球を確実に仕留めていくしかない。ストライクゾーンすべてに対応する必要はない。内角低めや外角低めを捨てて、甘い球を見逃さない。

 投手だって、そうそう思う通りに投げ込めるワケではない。追い込まれる前に1ストライク目、2ストライク目を積極的に狙う。これを打線全体が周知徹底すれば、必ずつながる。

 打線の中で見ると丸佳浩が調子を落としている。6連敗中、計22打数2安打だった。体の開きが早いから、ステップした際に重心が後ろにかかっている。

 それだけボールを早く見切ってしまう。外角球をファウル、内角球を見逃すことが多かった。

 だけど、丸ほどの打者だ。必ず修正して大事な3連戦に臨んでくるだろう。実際、7日のヤクルト戦ではいい働きをしている。

 泣いても笑っても残り16試合だ。まずは直接対決6試合を残すDeNAとの3連戦でどんな戦いを見せてくれるのか。楽しみでならない。

 注:最終勝数を77とすると巨人は残り16試合を8勝8敗で最終勝率・546、DeNAは残り13試合を11勝2敗で、最終勝率・550となる。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長、14年から巨人OB会会長を務める。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年9月10日掲載

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