トランプ「グリーンランドを買いたい」発言のウラに中国への牽制球

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 世界一大きな島を買いたい――。

 これが“小学生の夢”でないから世界は大騒ぎ。8月18日、アメリカのトランプ大統領が記者会見で〈グリーンランドの買収について、政権内で協議をしている〉と認めたのだ。

「グリーンランドはデンマーク王国を構成する自治領で、面積は日本の5・7倍あるのに対し、人口は5万7千人ほど。ただ、レアアースなど地下資源が豊富に眠っていることで知られています」(外信部記者)

 さては、資源に目がくらんだトランプの暴走か。

 ところが、

「グリーンランドとアメリカはすでに資源の採掘で覚書を交わしており、買収しなくともよいはずなんです」

 では、真意はどこに。

「これまでヨーロッパとアジアを結ぶ航路はスエズ運河、マラッカ海峡を通るルートが一般的でしたが、近年、温暖化の影響で北極圏の氷が融け出し、北極海を抜けるルートが注目されている。ここに目を付けているのが一帯一路構想を国策とする中国なのです」

 中国が提唱する巨大経済圏構想である「一帯一路」とは、世界の要所にインフラ投資をして現代版シルクロードを完成させるというもの。グリーンランドもその例外ではないといい、

「中国は数年前からグリーンランドの空港や通信施設建設への投資をデンマークに持ちかけている。グリーンランドには米軍基地があり、デンマークも中国の要請に応じていませんが、今年の3月にはイタリアが一帯一路構想への参加を表明するなど、アメリカにとっては予断を許さない状況なんです。今回のトランプの発言には中国を牽制する意味もあったのでしょう」

 さすが、米中ともなれば、話がデカい。

週刊新潮 2019年9月5日号掲載

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