「記録的」「観測史上最強」の連発で、天気予報がオオカミ少年になる日

エンタメ 週刊新潮 2019年9月5日号掲載

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「天気予報」がオオカミ少年になる日(2/2)

 天気予報は、いまやテレビの“人気コンテンツ”と化している。結果、メディアは視聴者受けする明快なコメントを求め、本来ならばハッキリとできない状況であっても、予報士は断定調で“予報”せざるを得ない状況を招いているというのだ。

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「記録的」「観測史上最強」といった文句は、視聴者の耳に入りやすく、気を引き締めることにも繋がろう。だが、ここにカラクリがあると指摘するのは、気象予報士の片平敦氏である。

「テレビの番組をよく見ると、こうした言葉を用いるために条件をかなり限定していることも多い。例えば『南の海上にある台風で、8月3~6日に発生したものの中では観測史上最大』といった具合です。条件を絞ればそれだけ“観測史上最大”という言葉は乱用が可能です。仮に最大でも、最終的に日本までそのままの勢力でやって来るかはわかりません。無理にひねり出した言葉で視聴者を“あおって”いるのでは、と感じてしまいます」

 そして、こうしたあおり文句をあまりに連発すれば、かえって逆効果になりかねないというのだ。

「例えば降水量についても、観測地点は全国に約1300カ所あります。雨が降る場所は年ごとにばらつきがあるので『観測史上最大』の数値はしばしば記録されていく。にもかかわらず、その1カ所のみを取り上げ、あたかも列島全体が大変であるというような報じ方は適切ではありません」

 むろん、当該地域の住民は最大限の注意を払わねばならないのだが、

「その点のみを強調すれば、大被害を及ぼした昨年6月末から7月の西日本豪雨や、関空が浸水するほどの高波・高潮をもたらした9月の台風21号のように、本当に危険な状況に直面しても視聴者が“ああまた『最強』か。この前もそうだったけど大したことなかった”と、表現に慣れてしまい、聞き入れてもらえないおそれがあります」

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