「巨人3軍」にはどんな選手がいるのか 巨人OBが推薦する“金の卵”2選手の名

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2試合とも勝てなかったけど……

 8月25日、巨人の先発は沼田翔平(19)、4番はサードの松井義弥(19)――。と言われても、相当なジャイアンツファンでさえ、「誰それ?」と思うはずだ。

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 実はこれ、巨人3軍の話なのだ。8月23日から26日まで「四国アイランドリーグplus交流戦」が行われ、25日と26日、愛媛マンダリンパイレーツと対戦した。

 愛媛の監督は河原純一氏(46)と書けば、「あ!」と叫ぶ巨人ファンも多いだろう。1994年、逆指名で巨人にドラフト1位で入団した、あの河原氏である。

 先発や抑えで活躍するも、2005年に西武へトレード。08年に中日の入団テストを受けて合格、更に12年に愛媛に入団するなど、徹底して現役にこだわる姿勢を見せた。しかし15年10月に引退、17年に愛媛の監督に就任することが発表された。

 更に今年3月には、やはり巨人と中日の2球団で捕手として活躍した小田幸平氏(42)もコーチに就任した。

 25日の初戦は3−3の引き分けに終わったが、翌26日の第2戦は何と6−2で愛媛が巨人に勝利した。小田コーチも「複雑な心境です」と苦笑するが、まずは巨人の出場選手をご覧いただこう。打者からご紹介する。

 8月26日のスタメンも、ほぼ同じものだった。違いは加藤がセンター、モタがレフト、高山がキャッチャー。荒井は8番に入ってライト、広畑はDHだった。

 次は投手篇だ。こちらは25日と26日の顔ぶれをご紹介する。

 この中で、小田コーチが「巨人の1軍で活躍する可能性がある」と注目したのは2人。打者のイスラエル・モタ(23)と、投手の高井俊(24)だ。

 まずはモタだが、特に8月26日の第2戦で4打数4安打1得点の大活躍。今季はイースタンリーグの19試合に出場し、打率は.286、出塁率は.375(註:8月24日現在。以下同)。彼の魅力を小田氏に訊いた。

「足が速く、守備範囲の広い、アベレージヒッターという印象を受けました。実際の試合では5番でしたが、もし1軍に昇格できたなら、1番や2番で起用されると思います。ただ、スター選手になるには、“ファンのイメージ”という厄介なハードルを更にクリアする必要があるかもしれません。ファンは外国人選手に対し、どうしても“ホームランを量産する大砲”という期待を持ってしまいます」

 ファンがモタのバッティングを見ると、「何だ、外国人選手なのに長打力がないのか」と思われ、関心を失ってしまう可能性があるという。

「モタが1軍でヒットを打って、打って、打ちまくり、打率3割5分を記録したのなら、ファンは長打力のことなんて忘れてしまいます。“巨人のイチロー”と熱狂的に応援するでしょう。ところが、打率2割台前半というように小さくまとまってしまうと、決して1軍選手の数字としては悪くないにもかかわらず、ファンは『ホームランを打てないのか』と失望してしまうのです」

 プロ野球にも興行の側面がある。ファンの人気が伸びない選手は、ズバ抜けた能力を示さなければ、切られる可能性が高い。

「モタが本当に巨人の1軍で活躍するためにも、1軍へ上がれる成績を出すだけは足りません。ファンが外国人選手に期待するような長打力を新しく獲得するか、ヒットの量産に磨きをかけ、安打製造機と呼ばれるほど打ちまくるか、どちらかが必要なのです」

 次は投手の高井だが、まずはネットなどで投球フォームをぜひ、ご覧いただきたい。「トルネード投法」という形容が多いことからも分かるが、野茂英雄(50)に似ているのだ。

 今季はイースタンリーグの4試合に登板、2勝を挙げている。打者23人と対戦し、奪三振は7。一方で1本のホームランを浴びるなどして自責点が3、防御率は5・06。

「ボールが重い印象で、高井くんから長打を放つのは難しいかもしれません。変化球はフォークがよかったですし、直球もスライダー気味になるところも、なかなか打ちにくい印象を受けました。多分、クローザーというよりはセットアッパーとして育てようとしているのかなと思いました」

 1勝1分と負け知らずの2戦となったことに、小田コーチは「本来なら大喜びすべきかもしれませんが、私は巨人OBでもあるので、苦言もあります」と複雑な心境を明かす。

「我々だって相当に弱いわけですから、そんなチームに勝てなかったというのは猛省を促したいです。巨人でプレーができる素晴らしさは、1軍でも3軍でも変わりません。改めて自分の境遇を再認識し、野球に打ち込んでほしいですね」

 とはいえ、特に25日の初戦は日曜ということもあり、大勢の観客が詰めかけた。プロ野球ファンの裾野を広げるという観点からは大成功だったのだ。

「私たちは普段、観客数が数十人という試合も珍しくありません。それが5000人くらいの方に来ていただけて、本当に嬉しかったです。選手にとっても、巨人というチームでプレーをしている選手と戦えたことは、私たちコーチが100のアドバイスをするより、遙かに多くのことを学んだと思います」

週刊新潮WEB取材班

2019年9月4日掲載

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