富士急行「高速バス運転手」の“居眠り動画” 撮影した乗客は会社の対応にも不満……

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

富士急行側は文書で回答

 改めてデイリー新潮が富士急行に取材を申し込むと、文書で以下のような回答があった。一問一答形式で、ほぼ全文をご紹介したい。全角数字を半角数字に改めるなど、一部をデイリー新潮の表記法にした。

Q1:運転手は、居眠り運転をしていたのか?

A1:居眠り運転をしていなかったと判断しています。

Q2:運転手を捉えるドライブレコーダーには、どんな状態が記録されていたか?

A2:当該運転手が、終始ハンドルをしっかりと握って運転しているものの、時折、頭を大きく前後に動かしたり、身体を揺すったりさすったりしている様子が記録されています。

Q3:運転手は社内調査に何と答えたのか?

A3:当該運転手からは、たしかに眠気があったものの、それを振り払おうと頭を前後に振ったりして眠気を覚ましていたのであって、居眠り運転はしていない。眠気を感じていたが自力で眠気を解消できると思い、継続して運転ができると判断したため運行管理者への報告、及び休息をとらなかったと聞いております。

Q4:運転手の性別、社員や契約社員などの雇用形態、年齢、運転歴などは?

A4:男性、37歳、運転歴5年9か月

Q5:「寝ていない」と判断した根拠は?

A5:ドライブレコーダーに記録されていた客観的事情として、バスが蛇行運転等をすることはなく、一定のスピードで車線に沿って走行し続けておりました。また、当該運転手がミラーをこまめに見る様子や、左手でギア操作を行っている様子も記録されておりました。以上の事情に加え、当該運転手が、当社のヒアリングに対し、「A3」に記載のとおり回答していることを踏まえ、居眠りはなかったと判断いたしました。

Q6:国交省への届け出が必要と考えるか、また再発防止策は?

A6:本件は、国土交通省への届け出案件には該当しておりません。再発防止策としては、

▼眠気を感じたら、運行管理者に無線を入れ、道路状況や天候の確認を行うことで会話による眠気の抑制に努める。あわせて付近にパーキングエリアもしくはバス停があればバスを停止させ、休息を取る。

▼運行管理者は、運転手からの無線等の連絡の際、運転手の体調確認を行い、バスの運転に適切でないと判断される場合は休息させるなどの指示を出す。

乗務員に対しては再度指導を行います。

Q7:会社に通報した男性に対し、担当者が「不自然な運転だが、居眠り運転ではない」と説明したのは事実か?

A7:事実です。

Q8:担当者の説明は、適切だったか?

A8:適切であったと考えています。

Q9:通報した男性は、「担当者さんは『電話する』と言いながら、電話しなかった」、「説明不足に不満がある」と感じておられます。この感想に、どのような見解をお持ちになりますか?

A9:対応した担当者からは、事情確認後の返信電話のお約束はしていないと聴取しています。もっとも、通報者さまから2度目にお電話を頂いた際に、通報者さまと当社との間に認識違いがあったことに関しては謝罪をさせていただいております。

Q10:対応した担当者の性別などは?

A10:男性、47歳

Q11:担当者は運転手が眠気を感じた際の対応策として「高速道路の場合、最寄りのサービスエリアやパーキングエリアに停車させる」ことを指導していると、通報者に説明したが、これは実際に行われていることか?

A11:行っています。

Q12:私どもの取材では、サービスエリアやパーキングエリアの停車は行われませんでした。これは適切な運転だったでしょうか?

A12:適切ではなかったと考えています。

Q13:適切ではなかったのなら、どうすべきだったのですか?

A13:まずは、無線にて運行管理者へ状況の報告、乗客への適切な説明を行い、最寄りのパーキングエリアにて休息を行うべきだったと考えます。

Q14:どうして運転手は適切ではない運転をしたのか?

A14:「Q3」で回答しましたとおり、当該運転手からは、自力で眠気を解消できると軽く判断してしまったと聴取しています。

Q15:再発防止策は?

A15:通報者さまからご指摘頂いた事項と「A6」にて回答しました再発防止策をあらためて全運転士に点呼時、掲示物等で周知させ、指導します。

Q16:動画を見た利用客は、大変な不安を感じるはずだが、利用客に向けたコメントをお願いしたい。

A16:お客様に多大な不安を与えたことに、バス事業者として誠に申し訳なく考えております。「A6」にて回答しました再発防止策を徹底して行い、ご利用頂くお客様の安心・安全の実現に努めて参ります。

 富士急行側の回答は、富士急グループで高速バスなどの運行を担当するフジエキスプレス社から文書が送付された。要約すれば「問題のある運転であり、再発防止策は徹底するが、居眠り運転ではない」という主張になるわけだ。

 はてさて、動画をご覧になった方は、富士急行の説明に納得されるだろうか。

前へ 1 2 3 4 次へ

[3/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。