1945年8月、ヒロシマとナガサキに相次いで原爆が投下された。人類が初めて使用したこの大量殺戮兵器により、年末までに21万人以上が亡くなっている。が、アメリカが原爆開発プロジェクト「マンハッタン計画」に着手したのは、その4年も前だった。日本の真珠湾攻撃の前日に早くも動き出していたのだ。一方、日本にも秘密裡に2つの研究が進行していたのだが……。
1944年6月、日本海軍はマリアナ沖の海戦で惨敗を喫し、空母、航空機の大半を失った。さらに翌月にはサイパン島が陥落。...
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恩師に抱いた初めての疑問──『湯川博士、原爆投下を知っていたのですか』
“原子力村のドン”と呼ばれた森は、晩年になって、ひとつの謎に苛まれていた。父母係累を一瞬にして喪い、自身も爆心地で被爆した昭和二十年夏の広島。あの日、あの場所に“特殊爆弾”が落とされることを、恩師の湯川秀樹は知っていたと聞かされたのだ。自分の原子力人生を決定づけた恩師の真意は、いったい何だったのか。
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(※本書評は単行本『湯川博士、原爆投下を知っていたのですか』刊行当時のものになります)
「森一久」という名前を聞いてピンとくる人は果たしてどれほどいるだろうか。...
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