便秘の人の経済的損失は「年間122万円」、生存率「15%以上低下」というデータ

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便秘は生存率が低い

「便秘のデメリットは、お腹の不快感や排便時のつらさなど、直接的なものだけではありません。慢性便秘になると、色々病気を誘発します。便秘の人はトイレでいきむ場合が多いので、それで高血圧になり、最悪、脳卒中に至るケースもあります。身体がハッピーではないので、沢山の仕事をこなすことができなくなり、QOLも落ちてくるわけです」

 と解説するのは、兵庫医科大学の三輪洋人主任教授。

三輪教授によると、便秘の人はそうでない人より生存率が落ちる、という調査データもある。2010年、米メイヨー医科大学が約4000人に対してアンケート調査を行った。

「便秘だけでなく、下痢、お腹が痛いなどの症状を質問する調査で、15年間の追跡調査を行ったところ、便秘と答えた人の生存率が低いことがわかりました。便秘ではない人の生存率は約77%ですが、便秘の人は約60%。実に15%以上も差が出たのです」

 13年に発表された厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」によると、便秘で悩む人は人口1000人あたりで、全体で37・8人。男性だけだと26人、女性は48・7人という結果がでている。13年当時の人口「1億2528万5000人」から計算すると、約470万人が便秘で悩んでいることになる。

「便秘は、検査の仕方によって数値が違ってきます。うちで、便秘がちと思う人、頭痛、腰痛、吐き気、高血圧などをインターネットで5000人を対象にアンケート調査をしたところ、便秘がちと答えた人が28%もいました。4人に1人が便秘ということになります」

 ところが、自分は便秘と思っている人で、これが病気だと認識しているのは半数もいないというのだ。

「便秘の人は、ほとんどが自分で適当に対処しているのが現状です。食事を考えたり、運動をしたり、水分を取ったり、自分で工夫しています。市販薬を使っている人は7・9%、病院に通っている人は4・7%だけです」

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