介護現場で横行するセクハラ、ヘルパーの大半は泣き寝入りの実情

社会2019年8月14日掲載

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 2018年、介護業界で最大規模の労働組合である日本介護クラフトユニオンがアンケート調査を行った。それによると、有効回答者2411人のうち、何らかのハラスメントを受けたことがある、と回答した人は1790人で全体の74・2%。そのうち、セクハラを受けたことがある人は718人で、全体の29・8%。実に、約3割がセクハラ被害を受けていた、という驚きの実態が明らかになった。

「私は介護ヘルパーを始めて29年目になりますが、これまで訪問して介護した人は1000人を超えています。そのうち約3割が男性でしたから、300人ほど。その中で、約1%、30人くらいからセクハラを受けました」

 と語るのは、藤原るかさん(63)である。7月末に、介護ヘルパーのセクハラの実態を描いた、『介護ヘルパーはデリヘルじゃない』(幻冬舎新書)を出版した。

「11年に、99歳のおばあちゃんを連れて厚生労働省に行ったことがあるのです。厚労省が、生活援助(高齢者本人や家族が家事を行うのが困難な場合、ヘルパーが掃除や洗濯、調理などを援助する)自体を介護保険から外そうと目論んでいたので、それでは高齢者の生活の質(QOL)が保てず、ヘルパーの労働条件の悪化につながると抗議したのです。それをYouTubeで見た編集者から、執筆の依頼がありました。今回の著書が2作目となります」

 藤原さんは、30代から40代の頃にセクハラを受けたという。その内容を、著書の一部から紹介すると、

〈一般的に70代以上のお年寄りというと、枯れたイメージがあるかもしれませんが、実際にはそうではありません。性的衝動はいつまでも残っていることを実感します。私がヘルパーとして関わった80代のKさんも、そうしたひとりでした。半身不随がある方で、食事を食べさせた後、薬を飲ませ、歯を磨いて、寝間着に着替えるのを手伝い、最後にベッドに寝てもらうのが仕事です。これを就寝介助といいます。そのときも、私が「じゃあ、ベッドに寝ましょうね」といいながら、身体を支えようとしました。すると、いきなり麻痺していないほうの腕で抱きつかれたのです。あやうくベッドに引き倒されるところでした。反射的に身体をもとの体勢に戻し、Kさんから離れました。そして、結果的にベッドに横になった格好のKさんの身体に布団をかけ、何食わぬ顔で「これから茶碗を洗わないといけませんから、先に寝ていてくださいね」といい、台所に戻ったのです。Kさんはというと、不満そうに、「だって、ベッドに寝ようっていったじゃないか」と文句をいっています。これを聞いて「男性はいくつになっても性的な欲望があるんだ」と驚きました〉

 藤原さんの知人のヘルパー(30代)もこんな被害を受けている。

〈脳梗塞の後遺症がある70代の男性利用者から悪質なセクハラを受けたことがあります。
 男性が布団から腕を伸ばし、「上体を起こしたいから手を貸して」というので、手を握って起き上がらせようとしたら、強い力で引き寄せられ、抱きしめられたのです。そのまま下半身をなで回され、頬や耳、うなじなどにキスされたため、突き放そうとしたのですが、相手の力が想像以上に強く、足も絡められてしまい、身動きが取れなくなってしまいました。恐怖に駆られ、大声を出したら、やっと腕を離してくれたそうです。思わず、「何をするんですか、いい加減にしてください」と睨むと、「はははは、いや、冗談、冗談」と笑い、彼女の身体をなめるように見つめたといいます〉

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