「最高裁」名刺と「判事」の名で結婚詐欺を働いた裁判所事務官を被害女性が告発!

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結婚積立

 ここで種明かしをすれば、彼は最高裁に籍を置く人物でも判事でもない。いまは名古屋簡易裁判所に勤める事務官で、別の裁判官の名前を偽名として彼女に告げていたわけだ。その事実を当時の彼女は知る由もなく、同じ日、いきなり結婚の話を持ち出された。

「仕事の話をしていたら、“結婚を前提にお付き合いいただけませんか”と告白してきた。いきなりのことでしたけど、私自身早く結婚したい思いがあったので、快諾したんです。すると、彼は“職場に結婚積立という制度がある”と今度はお金の話をしてきました」

 職場、すなわち裁判所に半年から1年、お金を積み立てて、結婚すると額が上乗せされて戻ってくるのだという。彼女は疑いつつも、

「積み立てをすると、上司の評価が上がると言うんです。その後、分割払いも可能だとか、何度も説明されました。結果、4度目のデートで20万円を渡してしまったのです」

 案の定、金を受け取ってから、山本は色々理由をつけて彼女と会わなくなった。

「最後は彼の母親が亡くなり、海外で療養すると言ったまま連絡が途絶えて……」

 お金を騙し取られた上、結婚したいという気持ちを踏みにじられた彼女は探偵事務所にも相談することに。

 それで彼の本当の名前が分かったという。

「警察にも今年の7月12日になって被害届を提出し、受理されました」

 さて、当の“詐欺師”の言い分を聞くため取材を申し込むと、弁護士を通じて、

「コメントを差し控えさせていただきます」

 と、逃げの一手。海外で療養していたはずの彼が勤める名古屋地裁の総務課は、

「当人は名古屋簡裁に在籍していますが、そのような事実は承知していません」

 そう言うのみ。彼女が悔しさを滲(にじ)ませて、

「騙されたと気づいた時はあまりのショックで眠れなくなりました。結婚したいと勇気を振り絞ったのに、私の貴重な時間を彼が奪ったことが許せないんです」

 裁きを下す“判事”が女心を弄んだという顛末。和解で痛み分け、というわけにはいかないだろう。

週刊新潮 2019年8月8日号掲載

ワイド特集「ひと夏の経験」より

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