「吉本問題、謝罪が遅い」と叱る朝日新聞「慰安婦誤報」の謝罪に30年かかった矛盾

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世の中のことを…

 他方、朝日と同様に世間の風を読んだのか、誰もボケてないのに、公正取引委員会がツッコミを入れた一件がある。吉本が所属芸人との間に契約書を交わしていないことについて、事務方トップが「問題あり」としたものだ。このツッコミを受け、吉本側も希望者とは書面契約するというボケをかまし……否、その方針を固めたというから驚く。

 公取のツッコミもまた現実離れした論理である。吉本に利益をもたらす芸人は一握りの1割程度。となると、ウリのない残りの5400人との契約が成立するわけがない。芸人を思っての施策が逆に芸人を殺すことになりかねないのだ。

 元毎日新聞記者でジャーナリストの徳岡孝夫氏は、

「そもそもこの問題、新聞が社説で大上段に扱うようなテーマですかね」

 と根本的な疑問を呈し、

「社説で言い張っているのは、教養もあり、文章も書ける人かわかりませんけど、世の中のことをもうちょっと知ってもらわなあかんなという気もするんですよね」

 と、関西弁で続ける。

「“お前がやっていることはおもろない”と言われたらしゃあないですよ。お客さんからの理不尽な罵声の中で生き、あるいは死に、芸が通じたりあるいは通じなかったりする世界で、腐ってしまう芸人が出てくるのは仕方ないです。出直してこいということなんじゃないでしょうか」

 世の中のことを一番よく知っていたから、朝日の論説委員になったのではなかったか。

週刊新潮 2019年8月8日号掲載

特集「『朝日新聞』が社説で勘違いする『吉本問題』への溜め息」より

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