日韓関係が破局した日のコリアンタウン「新大久保」、第3次韓流ブームは今後どうなる?

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駅前は女性で大混雑

「加害者である日本が、盗っ人たけだけしく、むしろ大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」――ご記憶の方も多いだろう。文在寅[ムン・ジェイン]大統領(66)が閣議で行った発言だ。

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 その閣議が開かれたのは8月2日。そして午後2時27分、YAHOO!ニュースのトピックスには読売新聞オンラインの記事が「文大統領 全責任は日本にある」の見出しで掲載された。

 現在の日韓関係は「史上最悪」という指摘も根強い。日本政府が輸出管理の優遇対象から韓国を除外する決定を下し、それに韓国は猛烈な抗議をする。

 確かに戦後からの日韓史を振り返っても、ここまで明確に両国が対立したことは極めて珍しいだろう。8月2日は“歴史に残る”日なのかもしれない。

 そんな日に、東京の新大久保を取材してみた。実は朝日新聞も同じ日に同じ場所を訪れ、3日に「日韓民間交流に影 新大久保の店『客来なくなったら…』」の記事を掲載した。重要な部分を引用させていただく。

《コリアンタウンが広がる東京・新大久保。韓国食品店の販売戦略チーム長は「お客さんが来なくなったらどうしよう」と不安を口にする。

 7年前、韓国大統領の竹島上陸で関係が冷え込んだときは、店の売り上げが3割ほど減った。まだ影響は出ていないが、「今後はどうなるかわからない」》
(註:全角数字を半角数字に改めるなど、デイリー新潮の表記とした、以下同。更に記事中の「チーム長」は実名だったが、これを削除した)

 この日は金曜日。最高気温は35・1度という殺人的な暑さだったが、それでも駅前は大勢の10~20代女性が歩き、タピオカミルクティーやハッドグ(アメリカンドッグに似た軽食)を美味しそうに食べる姿が、そこかしこに見られた。

 街の賑わいは「お客さんが来なくなったらどうしよう」と頭を抱えるようなものではなかったのだ。実際、見出しも記事にも「来なくなったら」と仮定形で書かれているし、「まだ影響は出ていない」ともある。とにかく朝日は日韓関係を新大久保の人も心配しているという記事を作りたかったようだ。

 チーズダッカルビを看板にしている店に入ってみた。鶏もも肉と野菜をコチュジャンや醤油、ごま油で炒め、ピザ用チーズを載せて溶かした料理。特に若い世代に人気がある。夕方という中途半端な時間帯だったが、店内は3分の2くらいが埋まり、客の大半は10代から20代だった。女性の店員が取材に応じてくれた。まだ来日して日が浅いのか、日本語はたどたどしかったが、落ち着いた口調で客足を説明してくれた。

「夏休みに入って、お客さんはとても増えました。いつも忙しいです。政治の影響はないと思います」

 一方、高級店となると、別の理由で客足の低下に悩んでいるようだ。焼肉店の店長が取材に応じてくれた。

「数年前から、じわじわと客足が下降線を描いているんです。日本人の常連客の皆さんは、政治のことは何も気にせず来てくださるのですが、新大久保が一気に若者の街になってしまったことが影響を与えたようなんです。40代以上の方々には普通でも、10代の若い女性にうちの店の敷居は高いでしょうから、なかなか厳しい状況になっているんです」

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