日韓関係が破局した日のコリアンタウン「新大久保」、第3次韓流ブームは今後どうなる?

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日本人の“韓流”への支出は減少する可能性

 諸説があるが、「第3次韓流ブーム」はTWICEなど「Kポップ」のアイドルや、先に紹介した「チーズタッカルビ」、美白化粧品などが牽引役となり、2017年頃から女子高生の間で始まったとされている。

 次に化粧品店を訪れてみた。街中の喧噪も凄まじかったが、店内は比較にならない混雑だ。買い物目的だけでなく、暑さを避けている女性もいるのかもしれない。匿名を条件に、30代の副店長が取材に応じてくれた。

「売上が落ちているのは事実です。ただ、7月から長い梅雨が続いて、8月になったら一転して猛暑です。この気候が要因なのか、政治が要因なのか、なかなか分析も難しくて……」

 韓流ブームに詳しいライターの児玉愛子氏は「第3次韓流ブームを支えているのは若い女性です。年齢層を考えて、政治が与える影響は限定的だと思います」と指摘する。

「ドラマ『冬のソナタ』がNHKBSの海外ドラマ枠で初めて放送されたのは2003年。最初の韓流ブームは04年から05年に起きます。主流は50代以上で、韓国に渡航し、かなりのお金を使いました。それが12年、当時の李明博大統領(77)が竹島に上陸したこともあって急速に縮小します。ただ、ブームの担い手も60代後半から70代に差し掛かってきました。もうあれほどの“バブル”は起きないでしょう」

 韓国人の日本観光客が激減しているのは、既に報じられている通りだという。一方、日本人の修学旅行や文化交流のキャンセルも相次いでいる。テレビ局のロケも一気に企画が延期となり、現地のコーディネーターが頭を抱えているそうだ。

 しかしながら、それと並行して、今のソウルを訪れると、多くの若い日本女性がショッピングに興じているのも事実だ。

「LCCのおかげで、ソウルへの渡航費が以前より安くなりました。10代、20代の女性でも捻出できる金額になったわけです。“韓流”ブームを支える日本人の総数は意外に変わっていないのですが、1人あたりの消費力、支出できる金額が大きく変わっています。そのため、『日本人が韓国で使ったお金』に関するデータでは実際以上に右肩下がりとなってしまうかもしれません」(同・児玉氏)

 児玉氏が懸念するのは、韓国で「愛国競争」が更に過熱してしまうことだという。日本商品の不買運動や映画「ドラえもん」の上映禁止などが起きているのはご存知の通りだ。

「例えば日本に対する抗議デモが今よりも大規模化すると、さすがに若い女性でもソウル行きを躊躇するかもしれません。韓国の航空会社が消費者に『愛国』をアピールするため、日本便を減便させるというシナリオも考えられます。若い日本人女性に人気の観光地はソウルの他に台北があります。あちらは非常に親日的なので、今までソウルに向かっていた若い女性が、台湾に向かう可能性もありますね」

 今後を占うカギは2つあるという。1つは9月20日から開催されるラグビーワールドカップだ。韓国は出場しないが、ラグビーファンはかの国にも存在する。そしてもう1つは年末の紅白歌合戦だ。

「ラグビーW杯に韓国のファンが日本を訪れ、SNSへ投稿する姿が確認できれば、韓国の排日運動は終息に向かう可能性があります。紅白は今の段階で、政治の問題がなければTWICEは当確です。NHKが出場させれば、若い女性の韓流ブームがしぼむことはないかもしれません。政治的な考慮から出場を認めなければ、ある程度は水を差すことになると思います」

 昨年はBTS(防弾少年団)の“原爆Tシャツ問題”などが大きな問題となり、紅白に出場できなかったことは記憶に新しい。NHKもなかなか難しい判断を迫られることになりそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年8月6日掲載

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