京アニ爆殺犯の死刑に立ちはだかる「刑法39条」の壁

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用意周到

 元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏の話。

「彼が統合失調症を患っていて精神障害者手帳2級を持っており、責任能力に問題があるかもしれない、となれば、まずは精神鑑定を行うことになります」

 そこで、犯行時の青葉容疑者が「心神喪失」あるいは「心神耗弱」の状態にあったか否かが判断され、前者だと認められると、刑法第39条により、無罪となる可能性も。

「責任能力とは、『物事の善悪の区別が出来る』ことと、『やってはいけないことをやらないという判断が出来る』ことです」

 そう語るのは、甲南大学法科大学院教授の渡辺修氏。

「青葉容疑者の場合、犯行は用意周到でした。包丁やハンマー、携行缶を用意し、事前にガソリンを購入している。さらに、犯行時には“死ね”と言っている。犯行のために意味のある行動をし、善悪を判断出来た上で行動していると思います。心神耗弱と言えるかすらも怪しく、死刑の余地は十分にあるでしょう」

 しかし、仮に心神耗弱が認められれば無期懲役になる恐れもある。

 先の若狭氏はこう話す。

「青葉容疑者への刑罰を巡る考え方のスタート地点は、やはり死刑でしょう。私の考えを言えば、今回の事件はいくら容疑者が統合失調症だったとしても、彼が病気に支配されて犯行に及んだわけではないと思う。犯行は計画的だし、警察官に確保された際も、『火をつけた』など、受け答えが出来ていますから」

 犠牲者の家族が望むのは、極刑以外にはあり得まい。

週刊新潮 2019年8月1日号掲載

特集「新聞・テレビが報じない闇! 京アニ『68人殺傷犯』41歳の『黒い履歴書』」より

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