ホリプロ二大「あざとい」枠女優 深キョンにお株を奪われ気味の石原さとみの生存戦略

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深キョンと石原が見せる「白いあざとさ」と「黒いあざとさ」

 同じく今クール放映中の「ルパンの娘」では、石原から「ぶりっこあざとい」枠を奪った深キョンが大暴れである。ふだんはおっとりはんなりな図書館司書、でもひとたびLの一族として仮面とボディスーツを身に着ければ、軽やかな身のこなしでドスの効いたタンカを決める女盗賊へ。コスプレ色モノ主演女優としても定期的に活躍してきた、深キョンの本領発揮である。

 深キョンは前々クールの「初めて恋をした日に読む話」で、モテまくるアラサー塾講師を演じていた。ただただ可愛く、困り顔と一生懸命さをふりまき周囲の男を虜にするという夢物語に、ここまでハマるアラフォー女優はいただろうか。でもこの役、石原さとみが演じたとしてもそれなりにハマったのではないか、とも思うのである。

 深キョンのぶりっこあざとさには、作為を感じない。ただ本当に可愛くて、本当にドジっ子で、だからついつい男を惹きつけちゃうのでは、と思わせるチカラがある。その計算の無さや自然さによって彼女は支持されているし、夢物語とわかっていてもドラマにハマる人が多いのだろう。以前、坂上忍と番組に出ていたときに、「誰からも好かれたいと思っちゃう」と語っていた深キョン。そういう無意識の媚びが、演技にも反映されているのかもしれない。あざとい表情やしぐさも「白い」イメージである。

 一方の石原がサエコ役で見せてきたようなぶりっこあざとさは、深キョンと対照的な「黒い」あざとさではないか。実に練りこまれて見えるのだ。本人の気の強さが生む、笑顔や仕草の可愛ささえ計算しつくした演技へのこだわりが、ストレートに伝わってくる。

 どちらが女優として上かというのはナンセンスだ。2人とも視線を釘づけにする強さを持っている。そしてあくまでも画面上の印象で比べているにすぎず、本人の性格が役と全く同じだとも思わない。白いあざとさを振りまく深キョンの良さもあるが、黒いあざとさをしっかり出せる石原さとみも立派である。計算高さを惜しみなく披露する、黒あざとい役の石原さとみをもう一度見せてほしいものだ。

 同じ事務所に深キョンがいたばかりに、力量が違う形で際立つ役ばかりに行かされている気がする石原さとみ。少し不憫に感じる。そう考えると今の石原が見せている、「私、わかってますよ」感は、世間というより事務所に対してなのかもしれない。ジャニーズや吉本が大激震の昨今、わたしは石原の去就にも少しドキドキしている。

(冨士海ネコ)

2019年8月4日掲載

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