島田紳助が語る闇営業騒動「俺が事態収拾に乗り出す? それはない」

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テレビ、出たいわけがない

 話は少し逸れるけど、俺が引退したあと、上岡龍太郎さんからこんなことを言われたわ。俺が辞めてから2年ぐらい経ったころかな。会ったらニコッて笑って、「毎日、楽しいやろ」って言わはった。上岡さんとは、いまもときどきゴルフに行ったりしてるんやけど、これはホンマ、俺の気持ちをよう分かってくれてはると思ったで。その気持ちを分からん人は、“そろそろテレビ出たいやろ”て言うてくるけど、そんなん、出たいわけがない。もういっぺん頑張らなあかんやんか。1年以上リハビリしないと無理ですわ。テレビに出るいうことは、不安に押し潰されながら、とことんまで自分を追い詰める。それを繰り返してると、ノイローゼみたいになってまうよ。

 ふつうの商売なら、3千円のモノを1万円で売るやろ。それやったら、売れなくても仕入れた3千円のモノは残る。でも、こっちは、もとから、手元にはなんにもあらへん。なにもないものを、喋りで金に換えなあかんねんから。

 これ、野球選手も似たところがあると思うわ。日ごろから、もう打てへんのちゃうか、打てへんのちゃうかって不安と戦いながら試合に出続けるわけや。打っても90メートルやったら外野フライ。でも100メートルやったらホームラン。この、たった10メートルの距離に、ものすごい執着と競争があるわけや。

 吉本に入る芸人のほとんどが40メートルしか飛ばせへんわけやけど、90メートルやったら飛ばせる子は、何人もいてる。そっから、100メートルに行くのが大変なんや。逆に、いまホームランを打てていても、いつ外野フライばかりになるか。その恐怖に打ち克たないとあかん。

 うちらは机に座って8時間仕事することができないから、芸人になった。芸人の才能の差なんてほんのちょっとや。90メートルと100メートル、たった10メートルの距離やけど、それがとてつもなく大きい。外野フライとホームラン、評価はぜんぜん違うやろ。

 そんな世界で吉本という家族は戦ってきた。だから今回拗(こじ)れてしまったのは、会社とタレント、お互いを思うと胸が痛い。なんとか円満に解決してほしい。ホンマに、それだけを願ってるわ。

週刊新潮 2019年8月1日号掲載

独占激白「『島田紳助』大いに嘆く! 『親と子のケンカに弁護士が入ったらアカン!』 『宮迫博之』『田村亮』造反劇へのやるせない悲憤」より

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