「皇室外交」で復権した雅子皇后が、それでも美智子上皇后に学ぶべきこと

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 新天皇、皇后両陛下の即位後も、皇室への高い関心が続いている。とくに元気なご様子で公務を果たされる雅子皇后に対する世間の好意的な反応が目立っている。

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好意的な論調がこのまま続くとは限らない

 平成時代の終わりごろの世間の皇室への関心は、現在は上皇、上皇后となられた明仁天皇、美智子皇后の果たしてきた役割への「ご苦労さまでした」という慰労の気持ちからくるものだった。令和になってからは新天皇、皇后に注目が移り、両陛下がどのような存在感を見せていくかに人々の注目が集まっている。とくに皇太子妃時代は適応障害で15年以上にわたって療養を続け、諸行事を欠席してきた雅子皇后がどのようなパフォーマンスを見せるか、半ば不安な気持ちで見守った人が多かったのではないだろうか。

 それだけに5月1日、新天皇陛下の即位関連儀式で、雅子皇后が笑みを浮かべ、自信溢れる様子で天皇の脇に立たれたことに安堵するとともに、皇后さまとしての責務を果たそうとする姿に勇気づけられた人が多かったと思われる。

 早々に国際親善活動も果たされた。同27日には国賓として来日したトランプ米大統領夫妻を皇居に迎え、6月27日にはマクロン仏大統領夫妻を昼食会で接遇し、雅子皇后はいずれも英語で米仏のファーストレディーと懇談された。

 単独公務でも雅子皇后は日本赤十字社の名誉総裁として5月22日、東京都内の全国赤十字大会に出席した。6月1、2日には、初めての地方公務として天皇陛下とともに1泊2日で愛知県を訪れ、全国植樹祭の式典に出席した。

 名古屋駅から全国植樹祭の式典会場までの約10キロ、行き帰りとも歓迎の人垣が絶えることなく続いた。ふつう町をはずれると、歓迎の人もまばらになるだけに、同行した皇室関係者は「新天皇、皇后両陛下への期待の表れだと思いますが、本当にすごかったです」と驚きを隠さなかった。両陛下は車内から手を振り続けた。

 雅子皇后への世間の温かい視線は、適応障害は完治してはいないだろうが、それでも一つ一つの公務を頑張っておられることへの声援とも言えるだろう。この頑張りが、体調の回復によるものか、皇后さまとしての自覚から来るものか、偉大な美智子上皇后の重しが取れたことによるものかは想像の域を出ないが、令和になって約3カ月、新天皇、皇后両陛下はスムーズな船出をしたといえるだろう。

 ただ私は楽観していない。私もそこに属する気まぐれなメディアの特性から言って、皇后さまへの好意的な論調がこのまま続くとは限らないからだ。公務を果たすのがふつうになった時、逆に体調不良で公務を休んだ時の論調の反転は容易に想像できる。むしろその時こそ、雅子皇后は上皇后さまに学ぶものがあるように思う。

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