罵声禁止、短時間練習、合理的指導…こんなチームがあったのか! 少年野球の現場で悩む父親ライターの正直な報告

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 長時間練習=ブラック企業、叱声・罵声をともなう指導=パワハラ、(女性による)お茶配り=性差別の助長—— 間近で見た少年野球の世界について、“パパコーチ”の視点で正直な報告をしてみたら、予想を超える反響で驚いた。

「何だよ、解決策を出してみろ。文句言うだけなら、少年野球に関わるな」等々言われたら悔しい。そこで記事で紹介した春日学園少年野球クラブ(茨城県つくば市。以下、春日)に取材を申し込んだ。「(練習時間)週末1/4ルール」「コーチングを専門に学ぶ筑波大学院生による指導」など、これぞ解決策と言える理念を打ち出したチームである。

 第1弾記事はこちら https://www.dailyshincho.jp/article/2019/05040700/

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恫喝とか叱責ではなく普通に尋ねる感じ

 代表の岡本嘉一さんから承諾を得て、練習日の土曜日、電車を乗り継ぎ練習場所に行った。時刻は8時30分。半日の練習が始まる。週末1/4 ルールとは、週末の2日を土日でそれぞれ午前と午後の4つに分け、そのうちの1つを使うということだ(練習試合、公式戦が入った場合、日曜日も活動する)。

 グラウンドには子どもたちが約50人。180センチ超の男性コーチの話に耳を傾けている。柔和な笑顔で迎えてくれた岡本さんに、2013年に遡るチーム設立の経緯を聞く。

「究極の親バカです(笑)。最初は、自分の子どものためにチームをつくろうかなと思ったんです。息子が小学校2年生で野球をやりたいと言い出して、いろいろなチームのホームページを見たり、周囲に聞いたりしました。実際に見学もしましたが、現場で罵声に衝撃を受けました」

 岡本さんは野球経験がない。罵声は意味不明だっただろう。大人が知力、体力、技術、経験とあらゆる面で劣る子どもに怒鳴る。パワハラ告発の時代に「あれも指導です」とは言いにくい。チーム設立はより良い環境を求めてということだろう。

 思い立った岡本さんは、筑波大学硬式野球部監督で「野球研究室」を率いる川村卓准教授の協力を得た。その結果、川村准教授の門下生を中心に大学院で野球やコーチングを学ぶコーチが関わる体制を構築。そのコーチには報酬も少額だが支払う。

「院生の指導にはメリットしかないです。何よりカッコイイ。これは大事です。子どもたちもマネしたいと思う。それに彼らの指導はレベルが違いますし、重みがあります」

 筑波大学硬式野球部は首都大学リーグ1部所属。この春は東海大学に次ぐ2位で、プロ野球に進んだOBもいる。コーチたちはほぼ全員この野球部で鍛錬を積み、さらに大学院で学んでいる。過去にリーグ首位打者や甲子園に3回出場したコーチもいた。院生コーチは卒業を節目に2、3年のサイクルで替わる。研究成果はどしどし春日に還元される。

 でもコーチだけがこのチームに感じた魅力ではない。週末4/1ルール、罵声なき合理的な指導といったスタイルが新しいと思うのである。

 取材当日は翌日が試合ということもあり、試合形式のノックに時間を割いているようだった。走者一塁の状況で、ショートの選手が打球を捕球後、どこにも送球しなかった。判断に迷ったのか。こういうとき多くのチームで大声が飛ぶはずである。

「なんですぐ投げない!」「セカンドが間に合わないならファーストしかないだろ!」

 だが院生コーチはその選手に呼びかけた。

「いま、捕ったあと、どう思っていた~?」

 恫喝とか叱責ではなく普通に尋ねる感じ。正解はわからなくても、感じたこと、思ったことなら誰だってある。答えられる。

「質問、するんですね」と筆者。

「しますよ(笑)」と岡本さん。当然のことらしい。

 筑波大学と関係を持てるのはうらやましいが、後出しで言うと、岡本さんは医師で筑波大学附属病院に勤務している。専門は放射線診断で、ひらたく言うと、MRI装置で撮影された画像を見て所見を書いたりするのが仕事である。投げすぎなどで肘を傷める「野球肘」の早期発見のために車載の小型MRI装置を開発し、メディアの取材も受けている。

 体の酷使でケガをする選手を見ていたことも、過剰な練習量を求めない週末1/4 ルールの設定につながっている。

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